数学トピックQ&A
数学目次へ
図形や図形の関係を表す記号
Q  三角形を表すのに △ABC,角を表すのに ∠ABC のような書き方をしますが,このような記号はいつ頃から使われだしたのですか。
A  数学は記号の宝庫です。これまでにも,記号について話題にしてきましたが。数学の発展にとって記号の果たす役割は大変に大きかったと思います。
 三角形をかいて,頂点に A, B, C の符号をつけて,AB,∠ABC,∠B のように辺や角を表す方法はギリシャ時代に始まったものと思われます。
 ドイツのレイエ(Reye)は1866年に,点を大文字 A,B,C… で,直線を小文字 a,b,c…で,平面をギリシャ文字α,β,γ…で表した。この書き方は現在まで続いています。
 フランスのファバロ(Antonis Fobaro)は1879年に,ABで点A,Bを通る直線,Aa で点 A と直線 a を通る平面,aαで直線 a と平面αの交点,αβγで平面α,β,γの交点を表すといった記号を考案しました。
 次に,△(三角形)や□(正方形)などの記号の歴史は古く,ギリシャ時代に使われていました。
Q  相似の記号 ∽ は S を横にしたもので私にも作れそうです。
A  数学の記号を自分でつくってみようというのはよいことです。相似と合同の記号を最初に使ったのはドイツのライプニッツ(Leibniz1646〜1716)です。1679年の写本の中で,a と b が相似であることを a〜b で表しています。記号〜は相似(similis)の頭文字Sを横にしたものといわれています。1710年の印刷本で ∽ を使っています。
 他の写本で,合同の記号として を用いています。
Q  合同の記号 は,現在使っている ≡よ りも気持ちが表れているように思います。上の ∽ で相似,下の = で等しい。つまり,相似のうちで等しいものが合同ということでよい記号だと思うのですが。
A

 ライプニッツ自身も を、「 ∽ にして = 」(相似で等しい)と説明しているのです。
 合同の記号は、1897年のボヤイ(Wolfgang Bolyai1775〜1856)の本で ≡ になっています。