数学トピックQ&A |
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2次方程式の実数解 |
Q | 教科書では,2次方程式の解の公式のまとめとして, 2次方程式 ax2+ bx +c =0 の解は D = b2ー4ac ≧ 0 のとき, D = b2ー4ac < 0 のとき,実数の解はない とありますが,「実数の解はない」とは,どんなことを言っているのかわかりにくいです. |
A | 次の2次方程式 x2+2x+5=0 を解いてみましょう. x2+2x+5= (x+1)2+4 =0 だから, (x+1)2 = ー4 …… [1] となります. そこで,平方して−4になる数とはどんな数なのかを考えてみましょう. 実数は,正の数,負の数,0のいずれかですね. [1] のx+1は,正,負,0のどれでしょうか. |
Q | x+1>0とすると, (x+1)2 >0 x+1=0とすると, (x+1)2 =0 x+1<0とすると, (x+1)2 >0 だから, (x+1)2 = ー4となることはできない. |
A | そうです.どんな実数 a でも,a2≧0だから,平方したものが負の数になることはない. だから, x2+2x+5=0 の実数解はないということになります. |
Q | こんなことになるのをみわけるにはどうしたらよいのですか. |
A | 解の公式を導くところを振り返ってみましょう. ax2+ bx +c ==0より, ……[2] [2] で,≧0,4a2≧0だから, D = b2ー4ac が負の数になると実数解がないということになります. 上で使った D = b2ー4ac を,2次方程式の判別式(discriminannt)といいます. それは,D の符号によって,実数解の個数を判別することができるからです. |
Q | 実数解の個数が決まるとはどんなことですか. |
A | D=0の時は,となって,解は1個です. D >0のときは,,の2個です. D <0のときは,実数解がない.つまり,実数解の個数は0個です. |
Q | 「D <0のときは,実数解はない」というのは,意味深長ですね. つまり,実数解はないけど実数ではない解はあるということをいいたいのでしょう. |
A | 鋭い洞察力ですね.お察しの通り,数学では,x2+2x+5=0 のように D <0となるような方程式にも解をもつように虚数というものを考え,複素数という世界をつくりだすことになります.詳しいことは,数学 II で学習します. |