数学トピックQ&A |
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演算記号の歴史 |
Q | 教科書数学 I(啓林館)のP.16の注に,「例12のように a×b を a・b と書くこともある.」とあります. 足し算は a+b だけなのに,かけ算は a×b や a・b の他に単に ab と表すなど3通りもありますが,この+や×の記号は誰が発明したのですか,また,国によって違うのですか. |
A | +と−の記号は,ドイツのヴィドマンの「商業用算術書」(1489)の中で,過不足を表すものとして使われましたが,次第に加法,減法の演算記号として使われるようになりました. 乗法の記号×は,1600年代にイギリスで使われたものです.1618年にエドワード・ライトが有名なネピーアの『対数』の注釈を出したときに大文字の X を乗法の記号として使いました. 今日,使われているような×は,1631年に出版されたイギリスのオートレッドの『数学の鍵』という本の中で初めて使われたものです.しかし,ヨーロッパ大陸では,×の記号はそれほど急速に使われなかった.それは×がアルファベットの X と混同しやすいからだったと思います. むしろ,15世紀の写本にみられるように,6x とか6x2 のように乗法記号の省略が行われていました. ・でかけ算を表すのは,ドイツのレギオモンタヌスに始まり×よりも古いとされています. |
Q | 数学で使われる記号はヨーロッパで使われだしたものが世界中に広がったということですか. |
A | そのようです.数学の記号は世界の共通語になっています. |