数学切り抜き帳
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三角数と台形公式
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 天才数学者ガウスが子どものとき,1から50までの整数を求めるのに次のように考えたという.
1から50までを並べる
1 2 3 4 …… 47 48 49 50
逆に,50から1までを並べる
50 49 48 47 …… 4 3 2 1
縦に加えると
51 51 51 51 …… 51 51 51 51

3段目には51が50個あるから,その総和は
     51×50
 したがって,求める数は

     

となる.

 1からnまでの整数の和を三角数という.
 これらは次のように図示できるからである.

 これらの和を求めるには次の図で考えるとよい.

 これらの和の求め方は教科書にも書いてある.
 1+2+3+4+5 の場合で説明すると,

 この図から,

     

となる.
 同様に考えて,一般に次の公式が成り立つ.

     

 1から n までの整数の和を三角数というが,この公式は三角形の面積の公式の形 をしていない.
 三角形の底辺が n で高さが n+1 なのか,逆に底辺が n+1 で高さがnなのかどちらも説明がつかない.
 しかし,これに似た公式があることを我々は知っている.
 台形の面積の公式

     

がそれである.
 台形の面積は次のように求められる.

 これを思い出して先ほどの三角数の求め方を見直すと,三角数を求めるのも台形の面積を求めるのも図形的には同じ考え方であることが分かる.

 結論として,三角数は図形的には台形のイメージでとらえるのがよい.

 公式はただ覚えるだけではなく,公式のつくりかたにも関心をもってもらいたい.
 三角数はデジタルな世界(指折り数える個数の世界),台形の面積はアナログな世界(道具を使って数量を測る世界)の話であるが、公式や証明を観察すると両者に共通なストーリーがあることに注目してもらいたい.