知っていると便利な情報をお教えしよう.
α を重解にもつ方程式 (x−α)2=0 を変形すると,
x2−2αx+α2=0
x2=2αx−α2
したがって,放物線 y=x2 の点A(α,α2) における接線の方程式は
y=2αx−α2
である.
数学はこれくらい自由に発想したいものである.
しかし,体制内にあってはこれは「正しいやりかたではない」と非難されそうである.
少なくとも結果は正しい.
次のように説明したらどうだろうか.
放物線 y=x2 の点A(α,α2)における接線の方程式を y=px+q とすると,2次方程式
x2=px+q
は α を重解にもつ方程式 (x−α)2=0 に変形できる.したがって,恒等式
x2−px−q=(x−α)2
が成り立つ.
よって, px+q=2αx−α2 (これも恒等式)であり,接線の方程式は y=2αx−α2 である.
しかし,強硬な人はこれでも「正しいやりかたではない」と非難する.また,非難しないまでも自信を持って「その通り」と支持してくれる人は少ない.
最初に述べたことがらはしっかり覚えておいて,こっそり使う方が無難である.
次に,放物線 y=ax2 (a≠0) の接線を考えてみよう.
放物線 y=ax2 上の点A の x 座標を α とする.
α を重解にもつ方程式 a (x−α)2=0 を変形すると,
ax2−2a α x+a α2=0
ax2=2a α x−a α2
したがって,放物線 y=ax2 の点Aにおける接線の方程式は
y=2a α x−a α2
である.
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さらに,放物線 y=ax2+bx+c (a≠0) の接線を考えてみよう.
放物線 y=ax2+bx+c 上の点A の x 座標を α とする.
α を重解にもつ方程式 a ( x−α)2=0 を変形すると,
ax2−2a α x+a α2=0
ax2=2a α x−a α2
ax2+bx+c=(2a α+b)x−a α2+c
したがって,放物線 y=ax2+bx+c の点A における接線の方程式は
y=(2a α+b)x−a α2+c
である.
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同様のアイデアは次の場面でも使える.
放物線 y=ax2+bx+c 上の2点A,B の x 座標をそれぞれ α,β とする.
α,β を重解にもつ方程式 a (x−α) (x−β)=0 を変形すると,
ax2−a (α+β)x+a α β=0
ax2=a (α+β)x−a α β
ax2+bx+c=(a α+a β+b)x−a α β+c
したがって,放物線 y=ax2+bx+c 上の2点A,B を通る直線の方程式は
y=(a α+a β+b)x−a α β+c
である.
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(注) α=β のときは上の方程式は接線の方程式になる.
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