数学切り抜き帳
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三角形の中の放物線
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 放物線 yx2 上に2点 A,B をとり,この2点における接線と直線 AB が決める三角形に着目する.


 A,B の座標を A(x1x12),B(x2x22) とすると,A,B における接線の方程式はそれぞれ,

  y = 2x1x x12
  y = 2x2x x22

となる.
 これらの接線の交点を C とし,A,B の中点を M とする.中線 CM と放物線の交点を P とすると,C,M,P の座標は,

  

となる.
 これらの3点は放物線の軸に平行な直線上に並ぶ.


 ここで,

  

だから,点 P は線分 CM の中点である.

 そこで,AC の中点を Q,BC の中点を R とすると,点 P は線分 QR の中点である.
 直線 QR は直線 AB に平行で,その傾きは,

  x1x2

である.この値は点 P の x 座標の2倍だから,点 P における接線の傾きと一致する.したがって,直線 QR は点 P における接線である.

 これまでに分かったことをまとめると次のようになる.
  三角形 ABC の中に放物線があって,
 (1) 放物線は点 A,Bを通る
 (2) 直線 AC,BC は放物線の接線である
 (3) AC の中点 Q と BC の中点 R を結ぶ線分 QR の中点 P は放物線上にある
 (4) 直線 QR は点 P において放物線と接する
 (5) 直線 CP は点 M を通る中線の延長である
 (6) 直線 CP は放物線の軸に平行である

 さて,ここまでは高校生諸君に分かりやすいように計算をしながら説明してきたが,同じことを計算をしないで証明してみよう.

 計算をしないといっても,最小限の計算は必要である.
  まず,放物線 y x2 において,
  点 A0 における接線は y=−x である
  点 B0 における接線は yx である
ことを計算で確かめる.


 2つの接線の交点は C0 で,三角形 A0B0C0 について上のことがら (1) 〜 (6) が成り立つことは明らかである.