数学切り抜き帳
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すべての組合せは順列から生まれる
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 順列・組合せの数を見直してみよう.

1.順列の個数 nPr(復習)

 まず、「n 個の異なるものから r 個を取り出すときの順列の数 nPr 」であるが、これは次のように求められる.
 例えば、n 枚のカードから r 枚のカードを取り出して並べることを考えてみよう.


  1枚目のカード  n   枚のカードから1枚を取り出す  n   通り
  2枚目のカード  n−1 枚のカードから1枚を取り出す  n−1  通り
  3枚目のカード  n−2 枚のカードから1枚を取り出す  n−2  通り
  ……
  r 枚目のカード  nr+1枚のカードから1枚を取り出す  nr+1通り

となるから、

nPr n×(n−1)×(n−2)×…×(nr+1)
n (n−1)(n−2)…(nr+1)

 「r 枚を取り出して並べる」といったが計算をよく見ると、はじめに r 枚のカードの組合せを取り出しているわけではない.r 枚をいっぺんに取り出すのではなくて、じっさいは、1枚ずつ取り出すことを r 回くりかえしている.
 この計算を樹形図で表すと、形図ははじめ n またに分かれ、次に n−1 またに分かれ、…、最後に nr+1 またに分かれる.


2.組合せの個数 nCr (復習)

 上で見たように、順列の個数は簡単に求められる.これに対し、組合せの個数は簡単には求められない.諸君はすでに教科書でこれを学んでいるはずだが、どうやって求めたかもう忘れているかもしれない.ここでもう一度これを見直しておこう.
 これを見直すことが次のステップへの足がかりとなる.

 例えば、1、2、3、4、5 と書いてある 5 枚のカードから 3 枚のカードの組を取り出すことを考えよう.


 そこで、3 枚のカードの組を手に入れるために、
     5 枚のカード → 3 枚の順列 → 3 枚の組合せ
という方法を考える.
 この方法では同じカードの組合せが何通りもできる.
 この場合、3 枚のカードの順列は全部で 5P3=60 通りあるが、下の図に見られるように、同じ組合せは 6 通りずつ得られる.

順列

組合せ

 例えば、1、2、3のカードの組合せは1、2、3の順列 123、132、213、231、312、321 から得られる.
 したがって、「5枚のカードから3枚のカードの組を取り出す」という場合の数は、

 5C 3

   

となる.

 一般に、n 個の異なるものから r 個のものを取り出す順列の個数は、
   
である.

3.組合せの個数 nCr (別の見方)

 組合せの個数 nCr を入手するのに別の方法を考えよう.

 5 枚のカードから 3 枚のカードを入手する方法として、5 枚のカードすべての順列を考え、はじめの 3 枚が 3 枚の組を決めると考える.


 組合せの個数 5C 3 は次のように決まると考える.


したがって、
   
となる.
  nCr の公式
   
も同様に理解できよう.

4.9人の人を4人、3人、2人の組に分ける

 ここまで書いたことのうち、1.と 2.はすでに知っていることの復習である.3.では組合せの個数について別の見方があることを示した.
3.の見方をさらに発展させて9人の人を4人、3人、2人の組に分ける問題を考えよう.
 9人の順列を次のように分割して組分けを入手することを考える.


 求める個数 N は、
   
である.
 一般に、n 人の人を A 組 p 人、B 組 q 人、C 組 r 人に組み分けするときの場合の数は、
   
となる.ただし、pqr n とする.

5.9人の人を3人ずつ3つのグループに分ける

 やはり、9人の順列を3人、3人、3人と分割してグループ分けを入手するが、組どうしの入れ替えが可能であることに着目する.


 求める個数 N は、
   
である.

 同様に、10人の人を4人、4人、2人のグループに分ける場合は,


と考えればよい.
 求める個数 N は、
   
となる.