数学切り抜き帳
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六々表
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 問題を解くとき,しばしば僕は図表や図式を利用する.
 あとから見るとき,ことばだけを使って書かれた解答はよく注意して考えながら読まなければならないが,図表や図式が書いてあると言いたいことがパッと目に飛び込んでくるという利点がある.
 ここでは表を使った解答の例をお目にかけよう.

問 2つのサイコロを振るとき,出た目の差が2以下である確率を求めよ.
解 出た目の差が2以下である場合は,右の表のようになる.
 したがって求める確率は,

    


1 2 3 4 5 6
1 × × ×
2 × ×
3 ×
4 ×
5 × ×
6 × × ×
 (注) この表を作るとき,まず右下がりの対角線が差0の場合である.この対角線から上下に1つずれたところが差1の場合で,2つずれたところが差2の場合である.

 この解答をことばで書くとすると大変なことになる.
 差が2以下である場合を書き上げるとすると,
   (1,1),(1,2),(1,3)
   (2,1),(2,2),(2,3),(2,4)
   (3,1),(3,2),(3,3),(3,4),(3,5)
   (4,2),(4,3),(4,4),(4,5),(4,6),
   (5,3),(5,4),(5,5),(5,6)
   (6,4),(6,5),(6,6)
となる.これでは書きもれはないかチェックするだけでも骨が折れる.
 この場面では余事象を考えた方が早いが,それでも書き上げるとなると大変である.
  差が3の場合 (1,4),(2,5),(3,6),(4,1),(5,2),(6,3)
  差が4の場合 (1,5),(2,6),(5,1),(6,2)
  差が5の場合 (1,6),(6,1)
 このときの計算は次のようになる.

    

 表を使ったときもこのように計算した方が早い.
 僕はこのような表を「六々表」と呼んでいる.
 この問題では六々表を使った方が簡単で,しかも間違いが少ない.

類題 大小2つのサイコロを振るとき,出る目をそれぞれa,bとする.

(1) a+b≦5である確率を求めよ.
(2) aがbで割り切れる場合の確率を求めよ.
(3) a,bがたがいに素である確率を求めよ.
(4) a,bの和が6以下でかつa,bの差が2以下である確率を求めよ.
(5) a,bがともに偶数であるかまたはa,bがともに奇数である確率を求めよ.