あみだくじはみんなも知っていることであろう。
僕のまわりの先生や学生はあみだくじが大好きで,何かの役やコンパの席順を決めるときなどあみだくじを引くことが多い。
先日も職場である役を決めるのに次のようなあみだくじを作った。
このくじでは,破線の部分は隠してあるが,名前と○×ははじめから書いておく。
そして,くじ引きの当事者がする作業は破線の上の部分に好きなだけ横線を書き加えることである。
このやり方では,くじの作成に当事者のすべてが加担するので,それだけ公平になるだろうというわけである。
さて,我々が経験的に知っていることは,上欄の一人一人が下欄の違ったものを引く(1対1対応)という事実である。
あみだくじはいつでも1対1対応になるだろうか
この問題を考えてみよう。
この証明は競馬のレースにたとえるとよい。
「ただいまゲートが開いて各馬いっせいにとび出しました。どの馬も実力伯仲で横一線に並んでいます。あっ,2コースと3コースの馬が入れ替わりました。つづいて1コースと2コースの馬が入れ替わりました。いぜんとして,各馬横一線に並んでいます。」
これで,立派な証明になっている。
その次に問題になるのは,
どんなくじの引き方もあみだくじで表すことができるのだろうか
ということである。
たとえば,下図でA,B,C,D,E がそれぞれ a,b,c,d,e に行くようなあみだくじが作れるだろうか。
これは,特別な知識はなくても,いろいろやってみれば必ず正解に達することができる。
じっさいにやってみると結構楽しい作業である。
このような問題を何題かやってみると一般的な方法も見つけることができるはずである。
まず,下欄の右端bに着目して,Bがbに行くように横線を入れる。
次に,右端から2つめのaに着目して,Aがaに行くように線を入れる。
次に,右端から3つめのdに着目する。
この図では,Dがeに向かっているので,dに行くように,横線を書き込む。
次に,eに着目すると,Eはeに行っている。
さらに,Cはcに行っている。
よって,この図が解である。
もっと簡単な方法を紹介しよう。
まず対応するものをひもで結ぶ。
線の交差XをHに変える。
形を整える。
さっきの解とは違うが,これも解である。
あみだくじは,大学の数学で重要な話題の1つとなる。
これに興味のある人は次の本を見て下さい。 岩井齊良著 基礎課程 線形代数 学術図書出版社,88−92ページ
類題 次のあみだくじを完成せよ。
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