数学切り抜き帳
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4777は7で割り切れるか
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 多くの人にこの問題「4777は7で割り切れるか」を尋ねてみた.人々の反応は次の2つに分かれた.

  A 割り算をしてみなければわからない
  B 割り算をしなくてもすぐわかる

 大多数の人はAである.Bはたいへん少ない.君の反応はどちらだろうか.
 Aはきわめて正統派,正攻法の考えである.これで悪いわけはない.それに対し,Bは臨機応変の考えといえよう.
 Aと思った人は,ここでもう一度考え直して下さい.
 Bと思った人は,

    整数4777では,7がわざとらしく並んでいる

ことに気づいたに違いない.この問題の意図もそこにある.
 4777という数は,

    4777=4000+777

と分けて考えられる.777は7で割り切れる.4000は7で割り切れない.だから,4777は7では割り切れない(答はNO)という結論になる.
 たとえ話でいこう.「4777本の鉛筆を7人で分ける」ことを考える.777本は7人で分けられる.だから,問題は「4000本の鉛筆を7人で分けられるか」ということに帰する.これはできない.だから,NOというわけである.
 ところで,「4000が7で割り切れない」というのは,多くの人が反射的にそう思うだろう.正確には,素因数分解を考える必要がある.

   4000=4×10×10×10
      =2×2×2×5×2×5×2×5

 このように,4777を割り切る素数は2と5だけである.7では割り切れない.

 諸君が問題解決能力を高めようと思ったら,こうした臨機応変の考え方も身につけた方がよい.そのためには,計算ばかりではなくふだんから考えることの訓練をする必要があろう.
 この問題「4777は7で割り切れるか」では.これはYES/NOの問題で,割ったときの商や余りは二の次(どうでもよい)であると考える.次に割り切れる/割り切れないの問題では,割り切れる部分(この場合は777)はつねに無視してよいと考える.本質的でないものを取り去ると,ものごとは単純化される.この場合は「4000が7で割り切れるか」だけが問題になる.これは,直感的にNOと答える.ただし,「理由は」と問われたら[因数分解]と取り繕うことである.この場合は結論NOが先に出てくるのがふつうで,理由はあとでつけることになろう.ものごとの判断は論理的に進行するとは限らない.その場合は結果的につじつまを合わせればよいのである.

 最後の一文はずいぶん乱暴であるが,「つじつまをあわせる」はごまかせといっているのではない.結論が先にひらめいたときは,理由を探せといっているのである.数学ではごまかしはきかない.もしつじつまがあわない(理由が見つからない)ならはじめから考え直すしかない.

 話が理屈っぽくなってしまった.類題を考えて息抜きとしよう.

 次の数は7で割り切れるだろうか.
   7773,77207,1457,2350