2003年からは,もうひとつ,これまでにない新しい方式のカリキュラムが展開されることになる.それは,「総合的な学習の時間」の設置である.
これは,単なる新しい教科の時間ではなく,画期的な考え方が折り込まれている.ねらいとしては,『自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること』,『情報の集め方,調べ方,まとめ方,報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方を身に付けること,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育成すること,自己の生き方についての自覚を深めること』とされている.
すなわち,総合的な学習の時間は,『問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育成する』ための時間であり,まさに情報教育のうちの「情報活用の実践力」を身に付ける時間として位置づけられている.
高等学校でも,3年間に140〜210時間(週当たりにすると,2〜3時間)が割り当てられており,これを実践力やコミュニケーション能力の育成に利用しない手はない.
総合的な学習の時間の特徴は,その学習内容,学習方法が,これまでの教科のような学習指導要領や教科書の制約を受けず,学校や教育委員会の判断でカリキュラムを構成してよい点である.したがって,国際化を重視する高校においては外国語やコミュニケーション能力を,情報化を重視する高校においてはさらに詳しい情報の内容を,社会とのつながりを重視する場合には,ボランティア活動や職業体験などをカリキュラムとしてとりいれることになろう.
総合的な学習の時間での評価についても,これまでのように,5,4,3,2,1の評定をつけることにはなっていない.したがって,評価をどのように行うかについての判断も設置者にまかされている.しかし,カリキュラムとして展開される以上,個々の子ども(学習者)が実践力を本当に身につけたのか,それはどのレベル(目標のどの辺り)にいるのかをチェックすること(すなわち評価)が不要なわけはない.
特に情報教育に関しては,クロスカリキュラムとして展開される可能性が高いので,評価の視点をしっかり立てて,日常の学習活動の観察や作品,レポートなどを見ながら,評価する方法を採用することが必要になる.現在,情報教育での評価のために具体的な目標設定,評価の視点の分析作業が進められている.
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