情報授業実践記録
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情報Aの目標の定着を目指した授業

東北圏内高等学校

 
1.はじめに

 本校の情報の授業は,情報Aが選択されており,生徒は2年生の時に授業を受けております。また,コンピュータ演習室では,45台のコンピュータが完備されております。しかしながら,コンピュータのスペックの都合上,現在よく使われているようなマルチメディアソフト等のインストールができないという現状もあります。そんな中,情報Aの目標でもある,情報を適切に収集,処理,発信するための基礎的な知識と技能を生徒に習得させること,また他の教科との結び付きを生徒に気づかせることを目指した本校の情報の授業を報告したいと思います。

 
2.情報Aの授業展開

 本校で行われている情報の授業の内容を報告したいと思います。

(1)文書処理ソフトを利用した文書作成と生徒の現状の把握
 現在,小,中学校を通じ,各教科や「総合的な学習の時間」において,コンピュータの利用経験がある生徒が多く,教員より多くのスキルを身につけている生徒も少なくありません。しかしながら,コンピュータを利用した経験が少なく,他の生徒と比べ,習熟が弱い生徒もいることも否定できません。本校では,Wordを利用し,そのような生徒に,タイピングから始まる演習を課し,コンピュータの便利さを知ってもらうようにしています。また,課題を簡単にこなしてしまう生徒には,スキルだけでは解決できない課題を与え,まわりの生徒と協力して課題をこなしていくように指示をしております。

課題内容 「次の文書をタイプしなさい」
「あなたがあったらよいなと思う書類を作成しなさい」


(2)Webページの作成
 今日,多くの生徒が,ブログ等で自分のホームページをもっているという現状があります。ここでは,HTMLを利用して,自分のホームページをタグを用いて作成しております。そして,ブログ等の便利さを強く実感させるようにしております。また,生徒の作成しているブログ等には,個人情報の取り扱い等において多くの問題があります。本校の情報の授業では,ホームページの作成だけではなく,作成する上で問題となってくる個人情報の取り扱いや著作権などにも触れる時間をとり,オンライン詐欺,プライバシー侵害など,情報化の浸透による裏側を生徒に伝えております。そして,生徒がタグで作成したホームページを見せ,評価をさせ,改善点等をレポートとして提出させております。個人情報等の講義からか,情報をあまり載せずに,難しいタグを使うことに執着する生徒が多く出るという課題も出てきました。今後は,ホームページを公開するということはどういうことなのかを生徒に知らせることができるような授業を展開していきたいと思っております。

(3)基本情報処理技術者試験に向けた学習
 基本情報処理技術者試験は,経済産業大臣認定の国家資格であり,就職等にも有効な資格です。本校では,1年で数回,基本情報処理技術者試験の過去問題等を扱い,その一部を伝えるようにしております。扱う内容は,高校までで学習したことを使えば解けるような問題までとし,数学の「場合の数」や「確率」,社会の「著作権」の問題等を扱っております。少しでも興味をもった生徒には,その詳細について伝え,強い関心をもってもらうよう,指導に努めてきました。生徒の理解はまだまだ浅いというのが現状ですが,これからはその課題を少しずつ克服し,情報処理のエキスパートの出発点に立てるようにしていきたいと考えております。

(4)表計算ソフトの利用
 表計算ソフトはExcelを利用しております。演習課題では,基本的な関数や基本的な書式を使う課題を先に与え,スキルの高い生徒には,より難しい関数を利用しなければならない問題や,グラフの挿入などにも手をつけさせるようにしてきました。興味をもった生徒には,マクロの基本的な使い方を放課後等の時間を利用して伝えていきました。

 
3.まとめ

 本校の生徒はパソコンを利用して,ホームページ等を作っている生徒が多く,また中にはパソコン検定を受検済みの生徒もいます。しかしその反面,今日問題となっている問題等に対して関心があまりないというのも否定できません。これからは,インターネットを通じて,情報化がもたらす悪い影響について調べさせ,PowerPointなどのプレゼンテーションソフトを利用して,発表させる時間を設けていくことを計画しております。そして,コンピュータはあくまで道具の一つとしての認識をさせ,「最終的に物事を決定するのは人間」であることを伝えていきたいと考えております。