情報授業実践記録
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総合実践としてのWebページ作成
−校内Webシステムの利用−

福井工業大学附属福井高等学校
森尾俊一

 
1. はじめに
  本校の情報授業のシステム概要

 本校の場合,1学年の構成は,普通科(特別進学3,進学2,普通1,体育1,吹奏楽1,デザイン1,情報1)10クラス,工業科(電気,コンピュータ,建設,機械システム,自動車整備)4クラス,衛生看護科1クラスです。各科では,それぞれ情報A,情報C,情報技術基礎,看護情報基礎が1年次に実施されています。その他,情報コースや工業科の電気コース,コンピュータコースでは専門科目の情報関連科目があります。そのため,コンピュータの台数も多く,情報教育室(50台),マルチメディア実習室1(30台),マルチメディア実習室2(30台),リテラシー室(40台)があり,LANを構築しサーバー室で一括管理しています。さらに,今年度新たに,サテライト室(40台)が増設されました。また,すべてのコンピュータは,学外とインターネットでつながっています。
 さらに,全生徒約1200名に対し,ユーザー名(証明書番号)とパスワードを与え,各生徒がデータ管理用フォルダにて各人のデータを管理しています。生徒は他の生徒のデータにアクセスすることはできませんが,教員は各生徒個人のデータを閲覧し,管理することができます。

 
2.校内Webシステム

 本校の情報教育の目標として,Webページの作成があります。さまざまな情報学習の集大成として,各生徒が個性を生かしたWebページ作成に取り組みます。システムとして,校内向けにWebサーバが組んであり,各生徒個人のフォルダが設定されており,各自が管理できるようになっています。
 下図の画面はインターネットの最初の画面です。授業で作成したものは,一番上の校内ホームページで見られます。コース毎に毎年更新するようにしています。
 Webページ公開での問題点は,特に,著作権の問題があります。著作権については,情報の授業の中でも学習しますが,生徒に意識を持たせるためにも,実際の作品の中で注意を与えることが多くなります。よって,学外への公開は慎重にならざるを得ません。

 
3.情報Aの授業展開

 今回は,普通科で実施している情報Aについて,報告します。
 情報Aは1年次2単位で実施しています。週2時間では,広く浅く,将来,生徒自身がコンピュータを購入して使うことに意欲・興味を持てることができるように考えています。

(1)文書作成の基礎
 生徒のコンピュータ操作能力には差があるので,Wordを使い,簡単な文書作成を行わせることによってチェックをしています。また,学校周辺の地図をオートシェイプなどの機能を利用し,作成することによってマウスやコンピュータ操作の基本をマスターさせます。

(2)情報通信機器の基礎
 情報通信機器の基礎では,具体的な機器を出来るだけ見せるよう心がけています。内部の見られない部分などはインターネットを利用しています。

利用頻度の高いサイト
[1]「教育用画像素材集」
[2]「情報機器と情報社会」

(3)プレゼンテーションソフトの操作
 プレゼンテーションソフトでは,PowerPointを使用し,「自己紹介」を作成します。基本的な操作のほか,インターネットを利用し,各生徒の町の紹介も作成します。完成後は発表し,互いに評価しあいます。ここでは,表現力が重要な課題になります。見る人,聞く人にとってわかりやすいかがポイントになります。

(4)表計算ソフトの基本的操作
 表計算ソフトはExcelを利用しています。基本的な操作方法から基礎的な関数(sum,average,max,min,ifなど)およびグラフの作成を行います。時間的に余裕がある場合は,自分の学習成績などのまとめとして使用することもあります。

(5)情報モラルとセキュリティ
 情報モラルやセキュリティについては,講義形式にもなりますが,インターネットにはさまざまな情報モラルやセキュリティの学習サイトがあるので,それを利用し生徒自身の調べ学習を取り入れています。とくに,携帯電話の利用とマナーは早い時期に行うべきと考えます。また,最近は家庭でのインターネット利用が急激に増加しており,違法行為とも知らず利用している可能性もあるので,重要な単元と捉えています。

自己学習に役立つサイト
[1]「ネット社会の歩き方」
[2]「警視庁 サイバー犯罪対策」

(6)インターネットの利用
 インターネットの利用はここまででしっかり身に付いていると思います。

(7)Webページ作成
 Webページの作成は専用のweb作成ソフトではなく,Wordまたは一太郎を利用しています。専用のソフトもありますが,一般の生徒にとって,家庭でコンピュータを使用するとき,ワープロソフトはあってもWeb作成用ソフトを購入することは最初の段階ではないと考えています。それに,最近はインターネット上にさまざまなサービスがあり,それを利用することが多いと考えています。
 Webページの作成では,内容や材料も自由であり一年間の総合実習ですので,自由な発想で作ってもらいます。最後に校内ホームページ上にアップし,お互いに評価し合います。

 
4.最後に

 情報の授業では社会の進歩の方が早く,生徒の中には教員より知識を持っている者もいます。しかし,モラルなどの面では不知で,生徒にとってモラルを身につけることは非常に大切なことと考えられます。技術的なことは勉強していかなければなりませんが,まずは人間性が重要であることを見失わないようにしてもらいたいと感じていますし,心がけて教えていきたいと考えています。