情報授業実践記録 |
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アンケート結果から学習成果を考察する −前任校における「情報C」の取り組みから− |
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埼玉県立春日部高等学校 加藤友信 |
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1.はじめに
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昨年度まで2年間、埼玉県立不動岡高校で情報Cの授業を1年次90分(2単位)で展開してきました。今年度は転勤となり、3年次で2単位の情報Cを行っています。ここに述べることは、昨年度までの授業報告となります。 |
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2.『情報』とは、どんな教科?
情報A、情報B、情報Cの違いは? |
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普通教科情報のねらいは「『情報活用の実践力』を深化・定着させるとともに『情報の科学的な理解』と『情報社会に参画する態度』を育成すること」となっています。 それぞれの観点は、次のように説明されています。
すなわち、普通教科「情報」は、特定のアプリケーションの使い方や単にコンピュータの操作方法を教える教科ではなく、上記のねらいを達成するためにコンピュータなどを道具として使いましょうという教科といえます。 |
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3.【検証】情報Cの成果は?
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上記教科の目標が、1年間を通して、どのくらい生徒に伝えることができたかを知るため、最後の授業でアンケートを実施しました。 考察:[1] の回答が意外と多かった。これは、情報Cは本来その三分の一程度を実習に充てればよいところを、毎時間情報学習室で講義→実習という授業形態をとったためと考えられる。すなわち、生徒にとっては毎時間コンピュータを触っていたという印象が強く、それが [1] の回答に結びついたものと考えられる。
さて、次に行ったアンケートは、学習前後での道具としてのコンピュータに対する意識調査です。何のためにコンピュータを使うのかという設問を設け実施した結果、以下のとおりとなりました。
考察:学習前、ゲームと答えていた人数が学習後減少し、マルチメディア、情報発信が大きく増加した。本年度の最後に、総合演習として、生徒個人のHP作りおよび4人1組の班による著作権クイズ作成を行ったことが大きく影響したものと考えられる。それまで、コンピュータをゲームやワープロなどのソフトウェアに利用することが多かった生徒が、マルチメディアを盛り込んだ情報発信の道具として利用できることを認識した結果だと思われる。
次に1年間を通してわかりにくかった内容、わかりやすかった内容についてアンケートをとりました。結果は以下のとおりです。 考察:上記アンケートの [1]〜[8] が今年度の授業(主に講義部分)の具体的な内容である。情報の科学的理解を深めるためにどうしても、コンピュータの特性に触れる必要がある。2進数、16進数はその入り口に位置するものであるが、やはりわかりにくいようである。来年度へ向けて、教材の開発等を考えたい。
調べ学習が十分に行われたことによって「わかりやすい」と認識するのであれば、今後どのように十分な調べ学習をさせるのがよいか、また、時間を短縮させるかなどを考えていく必要がある。
次に示すのは、その他として「授業(学習)環境の満足度」「90分授業の適切度」について聞いたものです。
考察:生徒に与えている学習環境は、おおむね次のとおりである。 |
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4.最後に
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試行錯誤の状態で行ってきた普通教科「情報」ですが、アンケート結果を見る限り、前任校においては、ほぼその目標を達成することができました。 しかしながら、課題も多く残っています。そのひとつが評価に関する問題です。前任校では、提出させたレポート、製作物、ペーパーテスト等を用いて評価しましたが、授業担当者が2人であったので、たとえばレポートの評価を両者の間で合わせるのに苦労しました。また、持ちクラス数が多い場合、評価しなければならないレポート、提出物は非常に多くなり、膨大な時間が必要になります。これらの点については今後、現在の学校で模索していきたいと考えています。 また、教科「情報」で得たコンピュータリテラシーや情報発信能力は「総合的な学習の時間」や他教科でおおいに活用されるべきです。そのような意味からも、1年次での実施が望ましいと考えています。 |