情報授業実践記録 |
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生徒の問題解決能力や独創性を 引き出す授業実践 |
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兵庫県立神戸高等学校 阪山 仁 |
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1.教科「情報」の授業のあり方
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現在、多くの高等学校(進学校)にとって教科「情報」と「総合的な学習の時間」は厄介な、お荷物授業となっていないだろうか。本校は兵庫県の代表的な進学伝統校であり、教員の多くは保護者とともに生徒の大学進学への夢を実現すべく日々努力を重ねている。このような、いわゆる進学校にとって教科「情報」はどうあるべきなのか。 以下に、この問題意識と日々向かい合いながら、手探りで生徒たちと教科「情報」の授業のあり方を模索している様子を紹介してみようと思う。 |
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2.進学校にこそ教科「情報」は必要であるわけ
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国語、数学、英語、理科、社会を主要5教科とよぶ。これら主要5教科は大学受験に必要な教科であり、生徒達はさまざまな困難を克服しながら教科の内容を消化していく。
授業の消化とは、「記憶すること」、「錬成すること」の繰り返しで、最終的にはあらかじめ正解が決まっているその正解を、できるだけ短い時間で、できるだけ間違いなく探しあてればよい。きわまれば、優秀な生徒とは、いわば正解解答マシーンのようなものとなる。はたして、これで事は足りるのだろうか。 私自身、長く数学の授業をしてきて「自分は生徒をどのような人間に育てようとしているのか」と自問して、思い悩んでいた。実社会で直面する問題では、正解などない場合がほとんどである。私たちが育てなければならない人材とは、正解のない困難きわまりない問題に真正面から挑戦し、独創性を発揮しながら、その問題解決に邁進できるような、そんな人づくりではなかったか。もし、教科「情報」がそんな人づくりの実現に資するところがあるのならば、進学校にこそ今、まさに教科「情報」は必要不可欠なのだといえはしないか。 |
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3.教材をどうするか
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平成12年から平成14年にわたって、私は文芸部の生徒達と「インターネットノベル」の作品づくりにかかわった。このときの体験が平成15年から始まる教科「情報」の授業計画に決定的な意味をもつこととなった。 [1] できるだけ「教えない」こと、正解は生徒達が自分で探す、創る、協議するもの。 これらの基本をおさえながら、授業の構成と教材の選択にはいった。 |
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4.授業実践
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平成15年度 1学期授業計画 情報B 第1学年生徒320名
第1回はオリエンテーションで授業の目的、目標を設定する。 〈条件〉・実際に使えるものをつくる。 |
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5.生徒の作品(一番下の図は参考作品として使用)
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6.評価について
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評価は客観評価+主観評価(指導者)+自己評価を融合する。 具体的には次のような評価シートを作成して使用した。 学期の最終の時間に説明をし、自己評価も取り入れるように工夫した。
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7.さいごに
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今回は平成15年度第1学期の生徒作品のみの紹介になった。 これ以外の生徒作品の一部を本校ホームページから閲覧できるようにしてある。 興味のある方はこちらを参照していただきたい。この中で、2学期の生徒作品はWebページでの展示許諾の得られたものだけになっているが、この他にも優秀な(私の評価ではあるが)作品が数多くある。つくづく生徒の内なる能力の高さに敬服している。 今後も、生徒たちに励まされながら、独創的な作品作りに取り組んでいきたいと夢をひろげている。 参考 (1)兵庫県立神戸高等学校のホームページ (2)兵庫県立神戸高等学校インターネットノベル (3)兵庫県立神戸高等学校 平成15年度 教科「情報」での生徒作品集 |