「やんばるの動物」を課題選択学習で指導
沖縄県東村立有銘中学校
安座間利恵子
1.はじめに
 課題選択学習は,生徒の能力,適正,興味・関心に基づき探究活動を重視した学習活動である。自然に対する探究を喚起し,研究の方法と喜びを体得できる学習活動であり,変化に富んだ主体的な学習活動が期待できる。
 また,研究課題は生徒一人一人の主体的活動を保障するものであり,きわめて意義のある学習活動である。さらに,野外観察は自然の事物・現象を直接体験することを通して,自然を調べる能力・態度が育成できる。ひいては,「自然環境保護の態度の育成」にもつながる。
 この課題選択学習に当てる時間は,2年の学習内容を精選して生み出した。また,これまで学んできた理科学習に,「地域の自然を探究する」という新たな視点を導入することで,改めて郷土の自然を再認識させ,望ましい自然観を形成したいと考えている。そして,そのことにより,将来にわたって「自然を愛する」心情を自ら豊かにすることができる人間へと変容できると考える。

2.指導計画と配当時間(小単元)
動物の生活を観察しよう・・・・・・・・・・・・・・・・1時間
 (1) 動物のなかま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6時間
  1)背骨のある動物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
  2)背骨のない動物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
 (2)地域に見られる動物を調べよう(課題選択学習)・・・5時間
  1)課題の把握(地域の動物を調べる手順)・・・・・・・・(1)
  2)課題の追究(実験・観察・レポート)・・・・・・・・・(2)
  3)課題の解決(発表,質疑,まとめ)・・・・・・・・・・(1.5)
  4)評価・発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(0.5)
地域の動物採集は,土日などの休日を使って行う。参考文献は,理科室文庫や学校図書館の利用を勧める。

3.

課題選択学習の実践例
 (1)課題の例
  1)ウッパマ海岸(東村慶佐次)の動物の研究→1班
  2)「慶佐次のマングローブ林」の『シオマネキ類』の飼育及び研究→2班
  3)『シリケンイモリ』の飼育及び研究→3班
  4)『ヤンバルトサカヤスデ』の研究(ムカデとヤスデの違い)→4班
  5)『カタツムリ』の飼育及び実験(えさと糞の関係)→5班
  6)『グッピー』の研究(グッピー,タップミノー<カダヤシ>,メダカの違い。3種の飼育)→6班
 (2)研究の一端の紹介
 『シリケンイモリ』の研究→3班
 
 (3)生徒の報告書の項目
  1)イモリの飼い方
  ◆シリケンイモリの採集
  ◆シリケンイモリの飼育と管理
  ◆えさの与え方
  2)シリケンイモリの生態と習性について
  ◆オスとメスの見分け方
  ◆イモリの繁殖
    ◇求愛行動 ◇求愛行動を観察したら ◇産卵
シリケンイモリの
採集の様子
エサとしてミミズを
与えている
イモリのオスが
求愛行動をしている
  3)沖縄に見られるイモリ類の研究(調べ学習)
  ◆シリケンイモリとイボイモリの生息地,特徴
  4)自己評価及び他者評価(A,B,C,D,感想)
時間の利用:土日で採集,休憩時間にえさの採集と観察,レポートのまとめ。

4.

セキツイ動物の基礎・基本の定着と個別授業のための自作教材,パンチカードの作成
 <パンチカードの作成>
 (1)考え方
パンチカードのホール(穴)は,次の1)〜4)の項目について設定した。



 (2)パンチカード
基本カード(中に適当な動物のイラストを貼る)
  例1)ほ乳動物(イリオモテヤマネコ)・・表面


前へ

閉じる