必修理科(3年)における課題研究の指導
沖縄県名護市立名護中学校
神山 英輝
E-mail:nagochu@southernx.ne.jp
1.はじめに
 本校の3年生の選択理科は,「自由研究物理・化学コース」「自由研究生物・地学コース」「おもしろ実験コース」「植物画コース」の4コースあり,どのコースでも課題研究を通して生徒の主体的な学習が進められている。その結果,県の科学展などで多くの成果を収め,受賞した生徒たちは益々学習への意欲を高めて主体的に取り組むようになった。
 その成果を全ての生徒に生かそうと,昨年度から必修理科の中にも課題研究の場を設けて実施している。

2.実施内容
 3年生の必修理科には6つの大単元があるが,各単元に課題研究を取り入れており,自由研究と合わせて7つとなる。
 各単元の課題は下表の通りである。

単  元課      題
物質とイオン石けんからろうそくを作ろう。
生物のつながり環境ホルモンについて
運動とエネルギー課題選択学習
大地の変化露頭の観察・調査
科学技術とわたしたちの生活科学技術に関するレポート
地球と人間身近な環境の調査

 以下にそれぞれの課題の内容を示す。
(1) 石けんからろうそくを作ろう。
 固形石けんからろうそくを作り,作ったろうそくを提出する。また,製作の過程で,石けん水に酸を加えるとろうが浮いてくるが,その理由について考えさせ,それをプリントに記入して提出させる。配当時間は,説明の時間として1時間取ってある。
 <実験手順>
 1) 固形石けんを下ろし金で下ろして粉にし,ぬるま湯によく溶かしてクリーム状にする。


 2) 酸を少しずつ加えながら混ぜるとろうが浮いてくる。それ以上入れても白濁しなくなるまで酸を入れた後,しばらく放置する。


 3) ガーゼでこし,よく絞って水分を出し,ろうの成分だけを取る。


 4) ろうの成分をアルミ箔で覆った鍋で温めて溶かし,さらに水分を分離する。


 5) 水の上に浮いたろうだけをアルミ箔の上に置いたクッキー型に流し込む。このとき,タコ糸を融けたろうにつけてろうそくの芯を作る。固まったら型をはずして出来上がり。


(2) 環境ホルモンについてのレポート
 本年度は,「生物のつながり」の単元から,環境ホルモンに関する報告書を提出させる。その理由として,最近話題になっているということと,「食物連鎖」「細胞」「生殖」など,単元の内容に関連する事項が多いからである。
 テーマは各自で考えさせ,説明の時間を1時間設け,前もって評価の観点を示した。
 <生徒のレポートの一部>

(3) 運動とエネルギーの課題解決学習
 単元の学習の最後に4時間を配当して(オリエンテーション1時間,実習2時間,発表会1時間)課題選択学習を行っている。課題は,「サラダ油の中を落ちる水滴の運動」「カーテンレールを転がるビー玉の各地点でのスピードをピースピで測定」「牛乳の点滴の落下運動をスチルビデオカメラで調べる」「ベルバラで力のつり合いを考える」,また,エネルギーの変換を考える課題として,「ポリゴミ袋による熱気球の製作」「アルコール鉄砲の製作」「エジソン電球の製作」「蒸気船の製作」「火起こし」の9つを用意した。
 「ベルバラ」とは?
 ベルトのバランスの略で,略図を下に示す。

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