生徒が楽しく取り組むことのできる選択理科の実験例
栃木県下都賀郡石橋町立石橋中学校
石井 俊行
栃木県宇都宮市立若松原中学校
斎藤 尚之
はじめに
 選択理科は,教員サイドにはかなりの負担があると思われますが,生徒にはとても人気があり,選択者が殺到するほどです。生徒に実験計画を立てさせ,計画的に行っている学校もあるでしょうが,今回は,身近な素材をもとに,生徒が楽しく取り組むことのできる実験を2つ取り上げてみました。ご存じの方も多いことでしょうが,何らかの参考になれば幸いです。

1.空き缶を利用して綿菓子をつくる実験
(1) ねらい
 空き缶を利用して安価に綿菓子をつくってみる。
(2) 用意するもの
 学校:水中モーター(マブチS−1),アルコールランプ,ボルト(直径4mm),ナット,ゴム管(うきゴム),中ザラメ,単3電池1個,キッチンフード,マッチ,ピンセット,電気ドリル
 個人:アルミ缶(350ml:コーラやビールの入っていた缶),ラジオペンチ,割りバシ
(3) つくり方
 1)プルタブをペンチでつかんで上下に動かし,プルタブをとる。
 2)缶の上面の中心に直径4mmほどの穴を電気ドリルで開ける。
 3)ピンセットでボルトをつまみ,飲み口から穴へボルトを内側から外側に向けて入れる。さらに,ワッシャを通し,ナットをはめてラジオペンチで空回りしないように固定する。
 4)アルミ缶の側面下方(下から1cmくらいのところ)に円周に沿って穴を電気ドリルで約10個くらい開ける。
 5)水中モータの舵とプロペラを取り除く。
 6)水中モーターに電池を入れるが,+と−とを逆にして回転を逆にし,ナットがゆるまないようにする。
 7)水中モーターと缶とをゴム管で固定し,つなげる。
(4) やり方
 1)キッチンフードで囲った中にアルコールランプを入れ,それに火をつける。
 2)アルミ缶の飲み口の穴から,中ザラメを大さじ3杯くらい入れる。
 3)水中モーターとアルミ缶が連結された機械を,水中モーターの部分を手で持ち上げ,アルコールランプの炎の上にかざしてザラメを溶かす。
 4)アザラメが溶けだしたら,モーターのスイッチを入れ,缶を回転させる。
 5)しばらくすると,缶の下方の複数の穴から勢いよく綿菓子が飛び出してくる。それを準備した割りばしで上手に巻きとればでき上がり。
なお,使い終わった缶はお湯でしっかりと洗えば再利用が可能である。
*青少年のための科学の祭典−神戸大会−での安岡久志氏の原稿を参考にした。

2.ペットボトルロケットの製作・実験
(1) ねらい
 爆発を利用してペットボトルロケットを飛ばす。
(2) 用意するもの
 学校:穴を開ける道具(キリ,ネジ,釘,金槌など),ストロー,セロハンテープ,燃料用アルコール,ピペット,チャッカマン,燃焼さじ,スタンド
 個人:炭酸飲料が入っていたペットボトル(中は乾かしておく),カッター
(3) つくり方
 1)ロケットをつくる。
.ふたに,キリ・ネジ等で穴を開ける。
.ネジ等で穴を7mmくらいに広げる。
.ストローをペットボトルの胴体にセロハンテープで固定する。
*翼をつくる(自由選択)。
.段ボールから尾翼を3枚切り出す。形は自由
.尾翼をセロハンテープでペットボトルに固定する。この際,進行方向に対して垂直にする。尾翼の取付角度が飛び方を左右する!
 2)発射台にロケットを接続する部分をつくる。
.燃焼さじの柄の部分を先にし,燃焼さじの皿の部分から4cmくらい上の部分を鉄製スタンドにはさみ,固定して発射台とする。
 3)燃料(エタノール)を注入する。
.ふたを取りはずし,燃料のエタノールを,ペットボトル1.5lにつき,スポイトで0.5ml入れる。
小さいペットボトルの場合は,それなりに量を調整する。
量を多くしても気化しきれない。液体のエタノールは爆発せずに燃えるだけなので無駄であり,機体が燃えてしまう危険性が出てくる。
 4)燃料(エタノール)を気体にする。
.壁に沿ってエタノールをのばす,約1分間手で温める。気体になって空気中の酸素と混じることにより,爆発させることができる。
中が水で濡れていると,エタノールは気体になりにくい。
 5)発射台の燃焼さじをストローに通し,ロケットを固定する。
 6)噴射口にチャッカマン等の火を近づけ,点火!
点火する際は,ロケットの横から点火すること。また,人に絶対に向けないことを徹底する必要がある。
噴射口の先に手を持ってこないこと。噴射するガスは熱い。
再び発射するときには,ペットボトル内の空気を入れ換えること。先の爆発で酸素が使われているので,酸素をもう1度入れ直す必要がある。

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