1.はじめに
中学校理科2分野のなかで,「大地の変化」は1年次の学習項目として重要な位置をしめる。我が国はもとより,火山に囲まれ,その恩恵に預かる一方で,地震による様々な被害に遭遇してきた。生徒の身近な体験にもふれながら,過去の地震に対して理解を深めるとともに,ICT教育機器の活用を通じて,より多角的に地震活動をとらえ,地震の成因等について興味や関心をもって学習することをねらいとした。
なお,ICT(Information and Communication Technology)については,文科省の中央教育審議会答申等で,教育現場における利用が急務とされている。また,これを受けて日野市の教育重要施策の一環として,本校では,各教室でインターネットに接続できる環境を整備し,コンピュータ,電子黒板,書画カメラ等の移動配置設備を準備した。
2.指導の立場
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の記録を基に,揺れの伝わり方などの特徴に気付く。
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映像等の活用により,地震についての興味関心を高める。 |
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地震の記録や体験を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気づく。 |
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地震の原因を地球内部の働きと関連付けてとらえることができるようにする。 |
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素直にとり組む生徒が多く,与えられた課題にはおおむねとりくめるが,受身の姿勢が多く,自ら理科的課題を設定する能力は,十分に身についていない。 |
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地球的規模でプレートの運動が起こっている点は,ICT機器の利用により視覚的に理解している。 |
第1時 |
ICT機器を使って,ヒマラヤ山脈をつくる地層からアンモナイトの化石が見つかる理由について問い,成因について理解する。 |
第2時 |
断層や河岸段丘の成因につい考え,プレートの運動と関連づけて指導する。 |
第3時 |
プレートの運動が地学事象に関係していることを理解する。 |
第4時 |
地震の記録を活用して,揺れの特徴を,地震計の記録から理解させる。 (本時) |
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映像等の活用により,地震についての興味関心を高める。 |
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地震計の記録から,震央の位置やゆれが伝わる様子がわかる。 |
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学習の内容・活動 |
教師の意図と働きかけ |
活用するICTと活用場面 |
導入 |
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1995年1月17日の問いかけ |
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映像資料による確認。 |
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何が起きた日なのか興味や関心を喚起する。 |
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映像に説明を加える。 |
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NHKデジタル教材の活用。 |
展開 |
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実習1に取り組む。 |
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電子黒板を利用して指示の徹底をはかる。 |
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最新の研究成果による検証をする。 |
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電子黒板を活用して理解の定着をはかる。 |
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啓林館指導用資料を利用して確認する。 |
<解答例提示> |
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机間指導により,理解が十分でない生徒には個別指導をする。 発展的な学習が期待できる生徒には,新潟中越地震等との比較を促す。 |
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東京大学地震研究所の研究結果を活用する。 |
<データ提示> |
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まとめ |
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啓林館指導用資料 |
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兵庫県南部地震シミュレーション資料(抜粋) |
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地震による諸現象は再現することが困難な場合が多いので,インターネットを用いて過去の地震を視覚的に認識し,地震についての興味関心を高めるとともに理解を深める事が出来る。 |
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実習課題を映像として提示することにより,共通の問題意識を持ち,解答についても,生徒の理解を深めることができる。 |
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活用したICT機器 |
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コンピュータ・プロジェクタ・電子黒板・書画カメラ |
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活用したソフト |
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指導用資料・プレゼンテーション用ソフト |
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兵庫県南部地震シミュレーション資料 |
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活用したサイト |
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3.まとめ
平成7年(1995年)1月17日午前5時46分,兵庫県南部を中心に地震が発生しました。この地震による死者は6,400人を越え,その影響は現在もなお続いています。
被害に遭われた多くの方々に心から哀悼の意を表するとともに,本稿が,理科教育,防災教育の一助になれば幸いです。また,授業についてご指導を賜りました東京女子体育大学 小田和美先生,ならびにシミュレーション資料を快くご提供くださいました東京大学地震研究所 古村孝志先生に深く感謝申し上げます。
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