授業実践記録

理科「授業実践記録」
中学校理科教諭

1.はじめに

 理科という授業は「実験・観察ができる」というイメージをもつことが多い。しかし,学習する分野によっては実験・観察を取り入れにくく,目で見ることや,感じることで学習内容を理解するということができない単元もある。特に,2分野(生物・地学)では実験・観察を通じての学習の取り組みが1分野(物理・化学)と比べると少ない。そこで2分野の授業内容を実験・観察が不可能な場合でも,楽しく授業に取り組む方法を考え,「選択理科」の授業の中で実践してみた。


2.テーマ「基礎・基本の指導」

動物の生活と種類
「選択理科」動物の分類(2年生 2分野上)のまとめ


3.指導のねらい

動物の分類の方法では
セキツイ動物と無セキツイ動物   子の生まれ方,育て方
呼吸のしかた   体温の保ち方

の項目で分類される。そこでこれらの項目を元に,身近にいる動物を魚類,両生類,ハチュウ類,鳥類,ホニュウ類に分類する。

 カードなどを使って分類する方法もあるが,動物の名前を「しりとり」にしてその名前を生徒に考え,発表させて考えながら,ゲーム感覚で動物の分類を考えさせていく。


4.授業の内容

 授業の最初に,自分の知っている動物の種類の名前をできるだけ多くノートに書かせる。種類にとらわれずに柔軟に考えさせることが大切である(イヌの中にも,いろいろな種類(チワワ,プードルなど)があるのでそういったものもOKとして考えさせる) 分からない,思いつかない生徒については,教科書,資料集などを参考にさせてもよい。

 知っている動物をノートに書かせた後,「しりとり」に従って,挙手で発表させる(早いもの勝ち。指名する方法もある)これらを動物の名前の「しりとり」でつなげ,必ず1人1回以上は発言するようにする。(私の場合は全員起立させ,発言できたら着席という方法を取った。)ただし,生徒によっては動物の名前がなかなか考えられない生徒もいるので,友達と相談することもできることを事前に説明しておく。

 「しりとり」の途中に,必ず入れなければならない文字(何個目の動物の最初または最後の文字)を指導者があらかじめ指定して「しりとり」を行っていくと,生徒がクラス全体で協力して取り組もうとする姿勢が一層生まれてくる。

板書例(40個の場合)

例) 授業の取り組み
  2学年選択授業 生徒数男子10名 女子10名
授業の展開

1 今回の授業では1人2個発表しなければならない。(20人×2個=40種類の動物 10個目の動物の名前の最後が‘カ’,20個目の動物の最後が‘シ’,30個目の動物の名前の最後が‘ニ’,40個目の動物の名前の最後が‘ン’)で終わるように「しりとり」をする。ただし指定する文字はある程度答えやすいものを選ばないと「しりとり」が行きづまってしまい,盛り上がりに欠けてしまうので文字の選択は予め考えておく必要がある。また,「しりとり」を進めていくと指定の文字の動物に行き着かなくなってしまうことが多々ある。そのときは戻ることも可能とする。ただし発言した人は再び起立をしなければならない。

 20名なので前半戦で1人1個,後半戦で1人1個は必ず発言しなければならない。(板書例を参考)

動物しりとりの例

イルカ(スタート)→1カニ→2ニワトリ→3リス→4スズメ→5メダカ→6カルガモ→7モルモット→8トナカイ→9イノシシ→10シカ…

のように40個続けていく。時間制限を設定し,時間内に終わらなければ,時間内に生徒から出た動物から授業を発展させる。時間を長く取りすぎてもこの後の授業に発展していかないので注意が必要である。
 
40種類の動物が出たら(または制限時間で終了してしまったら),板書の内容をノートに写させる。(時間がなければ写さなくてもよい)こちらから予め設問を用意し,当てはまる動物にマークを付けていく。あてはまる動物すべてを生徒に考え,答えさせながらクラス全員で確認していく。

設問例)
この中で,エラで呼吸する動物はどれか。
この中で,体温が一定の動物はどれか。
この中で,殻のある卵を産む動物はどれか。

 このとき,ノートを見直したときに後から分かりやすくするように色でマークをさせるとよい。黒板でも設問ごとに色を変え,指名しながら,答え合わせをしていく。


5.指導の成果

 生徒1人で考えるのではなく,クラス全員で考えることができる。なぜなら,分からない生徒に対して,ほかの生徒がアドバイスすることで,「しりとり」のつながりを切らないようにクラス全員が考えることができる。動物に限らず,1年生の「植物の分類」でも同じことが行える。

 今回の授業は個人選択授業で行った事例である。選択授業なので授業に対する興味・関心の高い生徒が多かったこともあり,意欲的に取り組むことができた。また,この単元の苦手な生徒も周りからアドバイスを受けながら授業に参加することができるので,授業の内容に追いついていかなくなってしまうということはなかった。


6.今後の課題

 5.でもあげたように,ほかの単元や教科にも導入して応用ができる方法だと考えられる。最近は個人ゲーム機やテレビのバラエティー番組でもいろいろなクイズ,ゲームなどがある(今回の授業も某テレビ番組をヒントに行ってみました)が,そういうものをヒントにして生徒達に興味・関心を持たせ,授業に生かせる方法の1つと考えられる。
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