Web教材の作成と活用
沖縄県名護市立名護中学校
平田 修
1.はじめに
 今回の学習指導要領の改訂により,コンピュータの使用が「必要に応じ」から「積極的に」と踏み込んだ表現に変わり,理科教育における情報化の流れはいっそう加速してきている。本校のある名護市では,サーバーに「e−ディクショナリー」を設置し,各教科の教育コンテンツを掲載し,授業での活用が始まりつつある。このように,教育コンテンツの充実は教師にとって喜ばしいことであり,授業改善の手だての一つとして考えられる。しかし,そのほとんどがドリル形式であり,地域の素材を扱ったソフトはほとんどなく,地域教材を学習する生物・地学分野では地域の教員や研究会で必要な教材を製作しなければならない。現在では,Webページ形式の教材も時間さえあれば簡単に作ることができるようになった。今回これまでに作ったいくつかの作品を紹介したい。

2.Web教材の利点
 授業で活用する教材をWebページで作成すると,次のような利点があると考えられる。
  (1) 授業の進め方に沿って教材をリンクさせて配列することができる。リンク機能を使うと後から教材を追加しても操作性は変わらず,配列を変更する必要がない。
  (2) 実際に授業で活用するとき,リンク機能を使えば生徒の理解度に応じて容易に前後に移動が可能である
  (3) ネット上にのせることで,地域教材の活用など情報の共有・公開性に優れ,ネットを通して地域の教員による共同の教材作成(リンクをはる分散型とソフトを次々に追加し一つの教材を作るタイプ)が可能である。
  (4) 普段使用しているプラウザソフトを使用するため,生徒も操作に慣れている。
  (5) 作成ソフトが多数あり簡単に作れる。

3.「光の学習選択実験」のWeb教材の作成
 第1学年の「光」の学習において,選択実験を行った。その際,選択実験における理解を深めるための教材を作成した。
 選択実験は次のような形で進めた。
  1) 実験の選択,実験開始
〈1時間目〉
  2) 実験のまとめ,発表の準備
〈2時間目〉
  3) まとめの発表
〈3時間目〉

図1 教材のリンク構成

 グループで一つの実験を選び,実験・まとめ・発表の形式をとった。実験についてなぜそうなるのか,説明を行う形にしたが,内容的に難しいものも多く,教師の補足が必要な場合も多くある。そのため,今回は,生徒の発表の際に教師が補足説明を行う際の補助的な教材にした。
 選択実験は,以下の通りである。

○ピンホールカメラを作ろう。 ○マジックミラーの不思議
○万華鏡をつくろう○蜃気楼をつくろう
○浮かび上がる10円玉○曲がる光
○スプーンに映る顔○消えるビーカーのマジック

 Web教材の作成には,ホームページビルダー2001を使用した。光の進み方では,パワーポイントで作成した教材を取り入れた。このように,他のソフトを組み込んで利便性を高めることも可能である。
 写真や図版を多く取り入れたため,視覚に訴えることができ,生徒の興味・関心を引きつけることができたといえる。

図2 光の学習選択実験のトップページ
  
図3 消えるビーカーのマジック

4.「沖縄島北部の地層観察」のWeb教材の作成
 改訂された新しい学習指導要領では地層観察が義務付けられた。野外での活動がいっそう重要視されてきたといえる。
 今回は,露頭観察の補助教材として使えるWeb教材を作成した。授業の中で観察する機会が多い北部地域に存在する露頭を市町村別,地層別,特徴的な地形に分けてページを作成した。データベース型の教材である。それぞれのページからは,また各露頭のページへとリンクされていく。
 北部地域の各中学校が観察できるように,地域に偏りがないようにまんべんなく掲載できるようにした。また,化石など生徒が興味を引きそうな露頭も掲載するように努力した。


図4 沖縄島北部地域の地層観察−教材のリンク構成


図5 沖縄島北部の露頭観察のトップページ
  
図6 シカの化石とシャコガイの化石が隣接して
観察できる露頭のページ

5.今後の課題
 Web教材の利点でも述べたが,Web教材はネット上に載せてこそ価値があり,また教材自体が次々に発展していく楽しみがある。今後の展開としては,ネット上で公開し,地域の先生方に協力しページ数(露頭数)ふやしていく取り組みが必要になってくる。沖縄県には,生徒に知ってほしい地域教材が多数存在する。地域の自然にこだわった教材が作成できればと思う。国頭地区理科研究会の合い言葉「理科教員はネットワークとフットワーク」をモットーに地域を完全に網羅した教材を作成していきたい。現在,本校のホームページが諸般の事情で停止状態であるが,再開されたときは理科のページとしてこれまで作成したソフトを公開し,地域の多くの学校で活用していただければと思う。

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