表1は,4齢及び終齢幼虫の糞の数を示している。4齢では脱皮直後の5個体は,他の9個体に比べて糞の数が9〜20個と少なかった。盛んに葉を食べている終齢幼虫では,1個体当たり平均の糞の数は37個で,その湿重量は1.32gであった。終齢幼虫が24時間で食べる餌の量については,写真4に示している。食べる量も糞の量と同様に個体差があるが,10枚の大きなスミレの葉をかなり食べている。
表1 幼虫と糞の数(24時間の観察記録)
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写真3 |
写真4 |
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図5は,蛹になった時の地面からの高さと個体数の関係を示している。プランターの縁で蛹化した個体が多かったため,地面から13cmに集中した。さらに,プランターや家の敷石部分のより低位に蛹化する個体もあった。また逆に,家の縁側下の縁や屋根の軒下,玄関上の軒など,かなり上部で蛹化する個体も少しあった。表2では,蛹化場所周囲の色と蛹の濃淡色との関係を示している。灰白色のプランターや白緑色の敷石などでは,うす褐色の蛹になっている(写真5)。ところが,黒褐色のプランターや焦げ茶色の縁側下の縁,屋根下の軒などでは,黒褐色の蛹がぶら下がっている(写真6)。
図5 蛹になった位置と個体数
(*270cmと316cmにも1個体ずつ蛹)
表2 蛹化場所の色と蛹の濃淡色
写真5 |
写真6 |
図6,7では,蛹の重量と蛹の体長,体幅の関係をグラフで示している。蛹の重量の大きい個体ほど体長や体幅も大きい傾向がある。また,雌の蛹のほうが雄に比べて相対に大きいと言える。
図6 蛹の重量と蛹の体長(△:♂ ●:♀)
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図7 蛹の重量と蛹の体幅(△:♂ ●:♀)
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図8は,蛹55個体の羽化日と雌雄の別を示している。観察した7月30日から8月20日までの間に,ほぼ雌雄同時期に羽化している。
図8 羽化日と性(□:♂ ■:♀)
図9は,羽化日と成虫の前翅長の関係を示している。蛹の場合と同様,雌のほうが雄に比べて前翅長が大きい。また,8月6〜10日頃に生まれた成虫は,雌雄とも少し小型化している傾向があった。
図9 羽化日と成虫の前翅長(△:♂ ●:♀)
脱皮(写真7),蛹化(写真8),羽化(写真9)などは,連続写真として記録したが,いずれも10分以内で変化,変態している。これらは,夜間や早朝に多く見られた。
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