1.はじめに
港中学校全景 |
本校は,「自然現象の不思議さ,実験のおもしろさに引かれて自然に親しむ理科学習の原点に立ち,本来生徒の持つ旺盛な知的好奇心を呼び覚まし主体的に学ぶ力を育てる」という方針で理科教育を行い,金沢市の高峰賞学校賞(理科教育に貢献のあった学校に贈られる賞)を3年連続受賞しています。
理科教師は3名で,定期的に開催される理科部会で,毎時間の指導法について話し合ったり,実験準備を一緒に行ったりしています。特に,理科室や理科準備室の環境整備を行い,生徒が興味を持って楽しく主体的に学習に参加できるように努力しています。
生徒の学習を支援していくために,本校では次のような校内および教科の研究テーマを設定し,実践を行っています。
<校内研究テーマ>
基本実験・ピンホールカメラ |
自らを見つめ,高めようとする生徒の育成
〜選択教科の履修を通して〜
<教科研究テーマ>
興味関心を持ち,自ら考える理科学習
・選択教科の活動の充実
・理科観察実験レポートによる表現力の育成
・理科室の学習環境整備
本校では,選択理科の授業を充実させるために,授業に必要な観察・実験の器具は,できるだけ理科室の棚や引き出しに保管するようにしています。器具には,生徒の班の番号がつけてあり,一人ひとりが責任を持って扱う約束になっています。開校以来,生徒が自由に器具等を取り出し,観察実験し,返却するという「開放管理システム」を実践しています。
2.選択教科の年間学習計画
平成11年度は,これまでの研究を継続・発展させながら,教科指導法の研究に加え,「選択教科の履修」を工夫することで,生徒が意欲的・主体的に学ぶ力を育てたいと考えました。
特に,選択教科の学習の中に社会人講師を活用したり,学習内容の個別化を図る等して,活き活きとした生徒の姿が見られるようにしたいと考えています。選択教科の実践や体験を通し,自らをより高めようとする意欲的態度を掘り起こすことをねらいとして研究を進めました。
まず,全選択教科で年間学習計画を作成し,活動内容を充実させるよう取り組みました。
3年理科の例です。
講座名 | 観察・実験を通して自然を探究する | 受講者数 | 32名 |
講座設定の ねらい |
必修理科の授業では体験できないような観察・実験を中心とした学習を行い,理科好きの生徒の興味・関心に応じることをねらいとしている。
また,この講座の学習を通して必修教科の内容を深化・補充するとともに,生徒が主体的に観察・実験の計画を立て,課題の追究活動が行えるような能力を育成することもねらいとしている。 |
学習目標 |
・ | 基本的な観察・実験の能力を身につける。 | ・ | 身近な自然の中から自分の興味・関心に応じた課題を設定し,追究のための活動を計画して実施できる。 |
・ | 観察・実験結果をまとめ発表できる |
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学習内容 |
・ | 基本的な実験(葉脈標本づくり,結晶づくり,ピンホールカメラの製作 |
・ | 環境に関する講義(社会人講師による) |
・ | 各自設定したテーマでの自由研究とその成果の発表 |
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評価規準 |
(1) | 関心・意欲・態度(課題研究への意欲・態度) |
(2) | 思考・創意・工夫・表現(科学的な探究の方法の習得・成果の発表) |
(3) | 知識・理解・技能(観察実験の知識・技能) |
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月 | 時 間 | 生徒の学習活動 | 個に応じた指導の手だて ◎教師の支援 ○観点別評価<1),2),3)> | 学習形態 |
一斉 | グループ | 個別 |
4 | 1 | 選択教科の授業発足会 | ◎選択教科について説明する。 | ○ | | |
2 | グループ編成等 | ○ | ○ | |
5 | 3 | 基本的な実験
| ◎生徒の活動状況を把握し,助言する。
1) | 観察・実験に興味・関心を示し,意欲的に取り組むことができる。 |
3) | 観察・実験の知識・技能が身につく。 | |
| ○ | |
4 | | ○ | |
5 | 2)結晶作り | | ○ | |
6 | | ○ | |
7 |
| | ○ | |
8 | | ○ | |
9 | 自由研究の計画作り |
◎ | 個人またはグループでの課題追究についての計画や観察・実験装置の製作等について助言する。 | | | ○ | ○ |
10 | | ○ | ○ |
6 | 11 | | ○ | ○ |
12 | | ○ | ○ |
13 | テーマに沿った観察・実験 |
|
| ○ | ○ |
14 | 身のまわりの環境問題 |
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| ○ | ○ |
15 | 必修理科の内容を発展させたもの |
◎ | 器具・薬品等は,学校にあるもので行う約束で実施する。 |
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| ○ | ○ |
16 | | ○ | ○ |
7 | 17 | 不思議・疑問に思っている内容 |
| | ○ | ○ |
18 | | ○ | ○ |
19 | | ○ | ○ |
20 | 講演会(環境) |
| ○ | | |
21 | テーマに沿った観察・実験 |
| | ○ | ○ |
22 | | ○ | ○ |
9 | 23 |
| | ○ | ○ |
24 | | ○ | ○ |
25 | 研究のまとめ |
◎ | レポートのまとめ方,表現の工夫について助言する。 |
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| ○ | ○ |
26 | | ○ | ○ |
27 | 研究発表会 |
◎ | 個々の発表の工夫されている点や優れた点を評価し,生徒の意欲を喚起していく。 |
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○ | | |
28 | ○ | | |
29 | | ○ | | |
30 | アンケート,感想,自己評価 | | ○ | ○ | ○ |
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