本校は今年度「英語力を強化する指導改善の取組」事業の拠点校として,授業の中で生徒が英語を用いて活動する時間を多くとる指導を行っている。その中で特に重視しているものが書く活動よりも話す活動を先にさせることである。「話す」にしてもスピーチや討論,日常会話等様々な形態があるが,事前に入念な準備をしてから話すチャンスを与えられる機会はきわめてまれであることを考えると,即興性を重視する事は重要であると考えている。その意味で書かせる活動はできるだけ後に配置するようにしている。また,話す段階では失敗は証拠として残らないため,生徒が何度でもチャレンジできるというメリットがある。刻一刻と変わる状況のなかで臨機応変に英語を使って,思い切って,失敗を通して学んで欲しいと考えている。以上の基本的考え方にのっとって行っている活動をいくつかご紹介したい。
6月までは集中的に文法を扱った。重箱の隅をつつくようなレベルは扱わず,自分の考えを述べる際に最低限必要な技能として文法を捕らえて授業を展開した。
コミュニケーション上必要な技能として形容詞句の作り方があげられるだろう。特定の名詞が言えないときでも,定義や状況を説明すれば,話が通じることも多いため,名詞を説明する手段としての形容詞句の作り方を徹底して扱った。「ケイト完全パパしてる」というゴロあわせで形容詞,to不定詞,関係代名詞,前置詞,過去分詞,現在分詞の6種類の用法を扱い,図1のようなスライドを用いグループ内のひとりが単語の説明をして,他のメンバーが何のことを言っているのかを推測する活動を行った。
話す内容が高度になるにつれ,動作や概念を主語に置く文(The idea that children should help with household tasks must be encouraged.などの文)もIt~that構文やIt~to構文,whatを含んだ文とともに学習させている。
縦割りの文法項目学習では表現活動させるまでに時間がかかりすぎる。レベルが低くても一通り表現できるようにさせてやるのが先決と考えている。
ELEMENTⅠのLesson2ではペットの話が題材にある。Part1では「なぜ犬が最初のペットでなければならなかったのか」を宿題として与え,教科書には書かれていないような時代背景や人間の生活様式等を多くの文献から調べて来るように指示した。授業ではペアで情報交換させたのだが,英語サイトの原文を相手に分かるように説明しなければならない状況が自然に発生し,paraphrasingの活動にもなっている。授業では相手を変えながらペアで十分練習させた後,全員の前で発表させるのだが,それに対して教員が質問を加える。その質問に対して別の生徒が調べてきた内容や自分の考えを発表し,議論が深まっている。
教科書の一部を言いかえる活動であるが,事前の宿題としてVocabulary Sheetが配布されている(図2)。単語の定義と同義語を主に扱っているこの宿題をヒントに,生徒は自分なりの英語で本文の言いかえを行っている。
例として,ELEMENTⅠ Lesson 5にある"He liked studying mathematic on his own, but he did not pay attention to other subjects."という文は①Despite the fact that he preferred studying mathematics by himself, he didn't turn to other subjects. ②He preferred studying math to studying other subjects. So he didn't care about other subjects. などで言いかえられていた。
各パートの内容を自分の言葉で,即興で述べさせる活動である。Who ,did, what, when, how等だけは黒板に残しておき,生徒はそれを見ながら必要に応じて追加情報を盛り込みながら口頭でSummarizeしてゆく。所要時間はおよそ5分で,パートの終わり毎に実施している。回を重ねる毎に上達しているようである。
ALTの協力を得て,生徒が正しく教科書の内容を伝達できたか,ALTとコミュニケーションがうまくとれているかを同時に見ることができる活動である。
週に1度フリーライティングの準備の時間を20分間設けている。流れは次の通りである。
Strategic time outの意義は大きく,その後のスピーチは1回目と比べると洗練されたものになっていて,生徒も自信を持って話している。