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1-1.大学入学共通テストが始まるまで
2021年1月から始まった大学入学共通テストですが、このテストが始まる前には2つの大学共通試験が実施されていました。
・1979年「大学共通第1次学力試験」開始 1989年に廃止(10年間実施)
・1990年「大学入試センター試験」開始 2020年廃止(30年間実施)
大学共通第1次学力試験は「共通1次」と呼ばれており、共通1次が始まる前は、各大学が受験問題を独自で用意していました。ところが大学によってレベルの差が激しく、なかなか解けない難問や理解しにくい珍問・奇問などが頻繁に出題されていたため「全国一斉の基礎学力試験」を目的に、大学受験のための一般的な試験を実施することになったのです。
それが共通1次でありセンター試験でした。あれから時代は昭和・平成・令和を変化していますが「全国一斉の基礎学力試験」という目的は変わっていません。
1-2.センター試験が廃止された理由
平成から令和になり、世の中はどんどん変化しています。近年では新型コロナウイルス感染拡大によりリモートでの授業が増え、生徒が1人1台、タブレット端末を持つ機会が増えました。また外部から外国人英語教師を招いたり、事務職員が校務を担当したりするなど教師を取り巻く環境も変わりつつあります。
世の中をみるとAI技術の進化により、生活はますます便利で豊かになる一方、一部の業種は淘汰される可能性も出てきました。また情報化社会はますます加速しています。
未来が予測しにくい社会に対応するため、さらなる思考力や判断力、表現力を問う試験内容に一新するために「大学入学共通テスト」が始まったのです。
2-1.知識や技能にくわえて多角的な能力が求められる
従来までのセンター試験では「知識・技能」が主に問われていました。ところが前述のとおり、今の世の中はあふれるほどの情報に接し、どの情報が役に立つのかを子供たちがしっかり見極める必要があります。そのためには情報の内容を理解し、思考する力、判断する力が必要になっています。
またグローバル化が進むにつれ、国語はもちろん英語(コミュニケーション能力)も求められます。そのため知識や技能にくわえて思考力や判断力、表現力を使い、いかに問題を解く能力が備わっているかが問われているのです。
2-2.思考力や判断力、表現力を問う
数学の問題は公式を覚えその公式や解き方の手順に沿って問題を解くような単純なものではなく、文章化された問題や添付された資料をチェックしながら一次関数や二次関数の知識を生かすような問題に変わっています。また日本史や国語の問題も、1問目で選んだ解答により2問目の回答が変化する形式へと変化しています。
従来からあった「効率よく手順通りに正解にたどり着く能力」が重視されるのではなく、「読解力や思考力、判断力、主体性、表現力を重視」する問題へと変わり、より総合的な学力が試されます。
3-1.各教科での変化
センター試験から大学入学共通テストへと変わり、各教科で出題傾向に変化が見られます。英語の場合は設問が日本語から英語に変わっているため、より深い英語の読解力や読むスピードが必要になるでしょう。
従来からあったアクセントや発音、並び替え問題は廃止されています。国語はより実用的な内容の文章が出題される傾向に変化しています。もちろん漢文や古文の問題も出題されます。
数学は、会話文や長文を主体にした問題へと変わっている点に注目です。長文を読んで問題の本質をしっかりつかみ、公式などの知識を使って問題を解かなければなりません。また全教科で「すべて答えなさい」という解答形式が導入されています。
3-2.変化の大きな英語
グローバル化を見据えて、特に試験内容が大きく変化したのが英語です。センター試験では英語を読む力が重視されていましたが、大学入試共通テストではリスニングの重要度が増しており、読むだけではなく英文を聴き、理解する能力が重視されています。
またそれまで出題されていた単語や文章のアクセントを問う問題や、並べ替え問題(文法の知識を問われる問題)は撤廃されているため、従来のような学習方法では通用しなくなっています。
3-3.民間資格の活用
英語に関しては英検やTOEFL、iBTなど民間資格の活用も模索されています。英検はリーディングやリスニングはもちろん、英作文問題も採用されておりライティングの能力も問われます。
さらに2次試験で試験官との会話形式の試験もあるため、スピーキング能力がないと突破できません。このような民間資格は共通テストとは違い、読む・書く・聴く・話す、のすべての能力を使うことになります。
今のところ大学入学共通テストへの導入は見送られていますが、私立大学を中心に、個別入試では民間資格を活用する大学が多数あります。
4-1.センター試験とくらべて難易度に大きな変化なし
知識や技能にプラスして、思考力や判断力、表現力が問われる問題が増えると説明してきましたが、基本的に難易度は従来あったセンター試験と大きな変化はありません(英語は大きく変化しているので要注意)。
ただそれまでのように「知識を丸覚えしていれば解ける」問題は減り、知識や技能をどのように活用するかを問う問題が増えています。また正解が一つとは限らない問題や複数の情報や資料を参考にして思考する問題も出題されるため、それらの問題に対応する試験対策が必要になります。
4-2.問題の分量が増えている
センター試験に比べて、問題の分量が増えている教科もあります。とくに数学ⅠAと数学ⅡBにその傾向があり、数学ⅠAは試験時間が10分増えていますが、それでも十分なものではないようです。
数学の問題は後半になるにつれて難しい問題が増えていくため、時間配分を考えながら進めていかなければなりません。
4-3.数学は基本をしっかりおさえる
2020年のセンター試験と2021年の大学入試共通テストの平均点を比較すると、数学ⅠAでは約5.8点平均点がアップ、数学ⅡBは10.9点アップしています。新しい形態の問題が増えたとはいえ、基礎を固めてしっかり受験対策をおこなった生徒が堅実に点数が伸びているのは事実です。
センター試験から共通テストになったとしても問題の難易度は大きく変わっていません。従来からあるテスト対策をおこない、新しい形式の問題にいかに対応できるか、例題を解いて本番に備えることが点数アップの道です。
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