シェアする
1-1.教科書採択までの流れ
高校でかならず使用する教科書。この教科書ですが、どのような流れで生徒の手元に届いているのでしょうか?高校の教科書採択には具体的な法令はありませんが、以下のような流れになっています。
・教科書の発行者が次年度に使う教科書(専門家による検定をパスしたもの)を文部科学大臣に届出
・文部科学大臣は教科書目録を作成し、発行者(社)も見本を都道府県教育委員会に送付
・教育委員会で次年度に使用する教科書の方針を決定、さらに選定のための資料作成
・作成された資料は各高校に送られ、校長の責任と権限のもとで使用する教科書を選定
・この結果をうけ教育委員会で総合的に判断し、それぞれの高校で使用する教科書を最終的に決定
これは東京都のケースですが、この流れをご覧になってもわかるとおり教科書は厳しい審査(検定)を経て出版され、さらにどの教科書を使うのか教育委員会や各高校が慎重に判断、決定しています。
1-2.教科書選定のポイント
教科書は複数の出版社から出版されています。すべての教科書は事前に厳しい検定をパスしており、内容は最新の学習指導要領にそっています。もし一か所でも不具合があれば訂正しなければなりません。
各学校の実態や教育方針を加味しながら、その学校にあったものを選定しています。
2-1.教科書はすべての基本
最新の学習指導要領を満たし、事前に検定をパスした教科書は学習の基本です。この教科書を使った効果的な学習方法は、やはり内容をしっかり読みこむこと。
とくに国語や英語など言語学習は文章の内容をしっかり理解しなければなりません。黙読するだけではなく音読するなどして言葉に出すとアウトプットができ、学習効率があがります。
2-2.問題集も効果的
教科書を読み内容を理解したら、その内容がしっかり定着しているか練習問題にチャレンジします。教科書を読む、理解するは「インプット」ですが、問題を解くことは「アウトプット」になりバランスのよい学習法です。
教科書と並行して問題集を使うと効率的に学習がすすみます。とくに自宅での学習が多い生徒には教科書の内容にそった問題集が1冊あると便利ですね。
2-3.教科書にあれこれ書き込まない
教科書に掲載されている人物の顔に落書きする生徒もいますが、そのレベル至らなくても教科書に細かいポイントを書き込まない方が無難です。
マーカーも多用しすぎると「結局どこがどう重要なのか」まったくわからなくなってしまいます。どうしても必要な部分にだけマーカーを引く、極力落書きはしないなどスッキリ使いましょう。
3-1.デジタル教科書の完全普及までは時間がかかる
公立の小学校や中学校にはGIGAスクール構想によりデジタル教科書が普及しはじめています。デジタル教科書は教科書の内容を完全にデジタル化し、生徒の持っているタブレットで教科書の内容を簡単にチェックできます。
ところがこのデジタル教科書普及に欠かせないタブレットの配布が完了していません。2024年までには整備されるのではないか、とも言われますが高校にまでデジタル教科書配布完了となると先が見えない状況です。
3-2.手軽に学習できる紙ベースの教科書
デジタル教科書を使用するためにはタブレットやネット環境、電源など必要なものが多く、しかもお金がかかります。普及に時間がかかっているのはこのような理由が考えられます。
その点、現在ある紙ベースの教科書は特別な機器や設備、電源などは必要なくいつでもどこでもサッとページを開けばすぐに利用できます。
またタブレットと違い一目で学習の内容が目に入ってくるので全体が把握しやすいメリットがあります。手軽に学習しやすいのが紙ベースの教科書の特徴です。
4-1.新学習指導要領を反映している教科書
教科書は最新の学習指導要領を反映しています。2022年に入学する高校生から新しい学習指導要領が適用されるため、教科書もそれに対応すべく内容が大きく変更されているのです。具体的には国語や地理歴史、公民、英語、家庭、情報、理数の科目のすべて、数学の科目の一部などがすでに改訂され、「探究」に関する科目も設定されています。かなり大きく手が加えられているため、古い教科書では通用しません。
4-2.次世代を生きる子どもたちの「生きる力」を伸ばす
大幅な学習指導要領の改訂は、従来のものを生かしつつ
・知識及び技能(どのようなことを理解し、なにができるのか)
・思考力,判断力,表現力等(できることをどう使っていくのか)
・学びに向かう力,人間性等(社会との関わりやキャリア形成でよりよい人生を送る)
この3つの柱で教科(科目)の内容を再整理しています。高度情報化社会のなかでどのような技能、知識を身につけどのように生きるか、急激に変化する社会にどう対応するか、次世代を生きる子どもたちの「生きる力」をはぐくむことに重点が置かれています。