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2020年教育改革でも注目されている「論理的思考力」について
広島女学院大学客員教授の出口汪先生にお話しを伺いました。
-小学校では5年生から英語が教科化されますね。
出口先生:「自動翻訳機の開発が進み、無料アプリでもTOEIC900点以上を出すものも作られています。近いうちに30か国語がほぼ完璧に翻訳できるようになるともいわれており、英会話の練習や英単語の暗記は必要なくなるかもしれません。
そうなると、英語も大切ですが英語の勉強をする以前に、母国語をしっかりと論理的に使えるようにならないといけません。」
-今後AIが知識をカバーしていき、人間は論理的思考力や判断力など知識以外の部分が求められる。まずは母国語において学力全体の基盤となる論理的思考力や判断力を高めることが大切ということですね。
では、国語の授業はどう変わるのでしょうか?
出口先生:「2022年に高校の学習指導要領が変わり、論理国語が新設されます。これにより、小学校や中学校でも論理的思考力を身につけていけるような体系的学習がなされるはずです。ただし、学校教育では教師がまだ学習方法を十分に会得していないでしょう。学校だけでなく、ご家庭でも子どもたちの論理的思考力を伸ばすためのサポートをしていく必要があります。」
-家庭でのサポートが必要とのことですが、どのような方法が考えられますか?
出口先生:「ご家庭でも論理を学習できるような教材や問題集をやっていくしかありません。知識を詰め込むのではなく、創造的な脳を育てていけるようにしなければなりません。まず、家庭では「漢字を語彙として習得する」ことが必要です。漢字の書き取りではなく、読み取りを中心とする学習をして、漢字を語彙として習得していく。そして、その次に必要なのが「読書」です。語彙として漢字を習得すれば、本が読めるようになっていきます。これらの学習に家庭でも切り替えていかなければなりません。」
―出口先生オススメのご家庭向け教材はありますか?
出口先生:「『頭がよくなる漢字(水王舎)』はオススメです。これは漢字の本ではなく、語彙力をつけて頭をよくする教材です。地頭ではなく、日本語の規則や論理にしたがって文章を作成する能力をつけることができます。ある程度漢字を知っていたほうが効果的なので、一つ下の学年のものを使うのがポイントです。これにより復習ができるだけでなく、その漢字を使用して語彙力を高めていくことができます。ほかにも『ドリルの王様文章読解(新興出版社)』のようなドリル形式のものもオススメです。ドリルで毎日毎日訓練していくことが大切です。」
―論理的思考力を伸ばすためのポイントは何でしょうか?
出口先生:「詰め込んで覚えた知識は使われないと結局忘れてしまいますが、本当に大切な知識は使われることで理解が深まり、身に付いていきます。例えば、漢字は書き取り中心の学習よりも、読み方と言葉の意味を理解し、語彙として正しく使えるようになることが大切なのです。国語だけでなく他の教科でも、問題を解くために必要な知識があり、その知識は使うことで自然と定着していきます。本当に大切な知識を知っていることが、論理的に物事を考えることの手助けになっていきます。」
-最後に保護者の方へのメッセージをお願いします。
出口先生:「小学生の教育というのは、子ども本人が決めることはできません。したがって親の責任はとても大きいです。そして、世の中は大きく変わり、親が子どもの時とはがらりと変わっています。ですので、子どもを通して新しい社会について知っていかなければなりません。子どもと一緒に親も勉強していくのだという自覚をもって、子どもをサポートしていってあげてください。」
―出口先生、貴重なお話をありがとうございました。
出口汪先生/広島女学院大学客員教授。代々木ゼミナール、東進ハイスクールの講師を歴任し、2009年に教材開発・出版を目的とした「水王舎」を設立する。
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