プログラミング教育はなぜ小学校で始まるのか?

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目次

2020.01.09

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1.小学校でプログラミングを学習する理由

教育改革に伴い関心が高まっているプログラミング教育。
気になる点を大阪電気通信大学教授の兼宗進先生に伺いました。

-なぜ小学校でプログラミング教育が必要なのですか?

兼宗先生:「様々な理由がありますが、ここでは二つの理由を述べたいと思います。
一つは、子どもたちがコンピュータの仕組みを正しく理解し、社会で安全に暮らすためです。今の子どもたちは、日常の多くの場面でコンピュータやインターネットと接していますが、それらは危険やリスクを伴います。そのため小さい頃からプログラミングを体験し、その仕組みを正しく理解することが大切です。

二つ目は、子どもたちに学習の機会を与えるためです。子どもは様々な体験を通して、自分の興味の対象や得意分野を見つけます。適性のある子どもにプログラミング体験の機会を与えることは、優秀なプログラミング人材を輩出できる環境を整えていくうえでも重要です。

小学校でのプログラミング教育は、技術者育成が目的ではありません。しかし、ほとんどの子どもたちが将来コンピュータを使う仕事に就くと考えられる現代社会において、プログラミングを知らずに大人になるのは子どもたちにとって不利益です。そのため、学校でもプログラミングを学習し、知識として理解しておくことが大切です。

2.小学校でのプログラミング学習の特徴と大切にすべきこと

-小学校ではどのようにプログラミングを学習するのでしょうか?

兼宗先生:「プログラミングは、中学校では「技術科」、高校では「情報科」と教科になっていますが、小学校では教科になっていません。様々な教科のなかでプログラミングを学習していくのが、小学校でのプログラミング学習の大きな特徴です。プログラミングに関してはどの学年のどの教科に入れても構わないとされているので、学校ごと、先生ごとに工夫されるかと思います。

最初はプログラミングをどのように活用してよいかわからない先生が多いと思いますが、授業例が増えれば活用する事例が増えると予想しています。
また、小学校では「プログラミングを教える」だけでなく、「プログラミングを通して教科を学習する」ことが目的になります。プログラミングやタブレットを学習ツールとして、教科を学習することに役立てられていくでしょう。

-学校でのプログラミング学習において、大切なことは何ですか?

兼宗先生:「一番大事なのは「子どもたちに達成感を持たせること」だと思います。プログラミングを楽しみながら学習していくことが理想的です。そして、「プログラミングを学習することは役に立つ」ことだと実感できるように、ゲームやアプリなど、子どもたちにとってより身近なものが題材であることが好ましいです。

3.学校以外でのプログラミング学習のメリット

-課外(学校以外)のプログラミング教室やパソコン教室での学習は必要でしょうか?

兼宗先生:「学校以外での学習には二つのメリットがあると思います。一つは、より実体験を得られるということです。小学生にとっては「触(さわ)れる」ということは大切なので、自分が作ったプログラミングでロボットが動くといった現実感のある体験はとても大切です。学校だと、パソコンやタブレットは用意できても、ロボットなど費用のかかるものは用意しづらいので、費用のかかる学習は学校外の教室などで補うことも考えていいと思います。

もう一つは、才能や意欲のある子は課外活動で、もっと能力を伸ばしていくことができるということです。学校だとどうしても全員ができることしか教えられないので、プログラミングについてもっと学習したいという子どもたちには、そのような学習の場でもっと能力を高めていっていいと思います。

-小学校でのプログラミング教育の必要性についてよくわかりました。兼宗先生、ありがとうございました。

兼宗進先生/大阪電気通信大学教授。企業でプログラマとして勤務後、一橋大学准教授を経て、2009年から現職。文部科学省の小学校のプログラミング、新学習指導要領の情報分野の委員を歴任。

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