自己点検・検証結果の報告を受けた調査結果に対する今後の改善方策について

平成27年12月11日付け27初教科第52号「教員等との意見交換や会議の開催の在り方等に関する自己点検・検証結果の報告について」をうけて,検定期間中の検定申請本の内容を外部へ開示する行為について調査したところ,平成21~27年にかけて,該当する行為を44件確認しました。

これら弊社がおこなった検定期間中における検定申請本の開示行為につきまして,教科書を使用する児童生徒,教員等をはじめとする教育関係者に対し,教科書採択の公正性・透明性に疑念を生じさせてしまいましたことを深く反省するとともに,今回の弊社の行為によりご迷惑をおかけした関係各位に,心からお詫び申し上げます。

また,弊社における調査の不徹底により,平成28年2月5日に文部科学省への追加報告をおこなったことについて,重ねてお詫び申し上げます。

今後,このような事態を生じさせることのないよう,下記のような社内調査を実施し,改善策を策定しましたので,以下に報告をさせていただきます。

1.自己点検・検証結果の総括について

①調査方法

該当する事案について下記の方法で全社にて調査をおこないました。

ア 全社員への本事案についての説明・報告を経て,全社部長会議,編集部長会議,営業部長会議での調査趣旨の徹底をおこない,当該期間の企業活動について,全社員への面談・聴き取り調査をおこないました。

イ 問題となる事案については,担当役員が直接関係社員に面談・聴き取り調査をおこないました。

②確認できた検定申請本開示行為

上記の調査の結果,教科用図書検定規則実施細則で禁止された行為にもかかわらず,検定期間中に下記のような検定申請本開示行為をおこなったことを確認いたしました。

ア 使用中の教科書に対する意見聴取会として,教員を招聘した会議での開示行為

イ 使用中の教科書への質問に対し,検定申請本該当ページを開示した行為

ウ 原稿やデザイン紙面など検定申請本の一部内容の開示を伴う意見聴取

③原因

ア 教科書の編集,宣伝に対する基本的な認識が甘く,過去の悪弊を断ち切ることができなかったことが大きな原因です。より良い教科書をつくりたい,少しでも学校現場の意見を反映したいという気持ちが強くなりすぎ,全社的にコンプライアンスについての意識が希薄になっていました。

イ 現場責任者と担当者のコミュニケーション不足により,コーポレートガバナンスが行き届いていませんでした。

④懲戒処分

今回の検定申請本開示行為にかかわった役員,管理職に対し,社内規定に則り,懲戒処分をおこないます。

⑤再発防止のための改善策

現時点では下記の点を喫緊の課題として業務改善してまいります。さらに個別具体の課題に対応するため,継続的に検討してまいります。

2.再発防止に向けた改善策について

①社員行動規範と内規の策定

今後,教科書の採択に疑義を招くことのないよう,教科書協会が定める行動規範に照らし,平成28年6月をめどに,社員の行動規範・内規を作成いたします。そこでは,採択の公正性・透明性に疑念を抱かれない編集・営業活動について定め,教員への依頼内容ごとの適正な支払額を設定します。同時に,より透明性を保つため,管理本部に社内の教科書関連業務全体のコンプライアンスを監視する機能をもたせます。

②検定申請本の管理徹底

教科用図書検定規則実施細則や教科書協会が定める基準等を遵守し,検定審査が終了するまでは,検定申請本の内容が申請者以外の者の知るところとならないよう,検定申請本並びにそれに関する資料の管理を厳格におこなってまいります。また,これらの持ち出しに関する違反行為があった場合には,厳正に処分します。

③教育委員会,学校,教員等とのかかわり方の改善

教育委員会,学校,教員等と健全かつ適切な関係を構築できるよう,法令や各自治体が定める条例・規則等を尊重,遵守して企業活動をおこなってまいります。

④社外専門家による助言

平成28年4月より,法律の専門家をはじめ,コンプライアンスに関する専門家など,社外専門家の指導・助言を仰ぎ,再発防止策を策定・実行してまいります。

⑤教科書にかかわる規程・規範の研修

文部科学省及び教科書協会が定める各種規定・規範並びに弊社が定める社員行動規範・内規について,年間を通じた社内研修等により理解の徹底をはかってまいります。

⑥コンプライアンス,コーポレートガバナンスの徹底

報告やフィードバック,社内のコミュニケーションを活発化させ,コンプライアンス,コーポレートガバナンスを徹底する社内土壌をつくります。また,教科書関係業務だけでなく,新入社員研修や管理職研修等あらゆる機会を利用して,全社的な取組みをすすめてまいります。

3.おわりに

弊社としましては,今回の事実を真摯に受け止め,教科書を発行することの公共的・社会的使命を重くとらえ,わが国の教育に寄与できる教科書づくり,企業活動をおこなってまいります。今後は,再発防止に全力を尽くし,規則遵守に努め,国民の皆様の信頼回復に全力を注いでまいります。

平成28年4月22日

株式会社新興出版社啓林館

代表取締役社長 佐藤徹哉

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