Fun with MATH 算数で遊ぼう

Challenge! 英語で算数!

単元名

くらべてみよう

岐阜大学附属小学校 尾崎 友美

本実践について

(1)指導にあたって 

本単元は,他教科等での学習や体験と関連のあることを扱った。高学年の活動では,他教科等で学んだことが生かされる題材や,学んだことに関連して新たな知識を得られる題材が好まれる傾向にあることが,児童のアンケートからうかがえる。ここでは,長さ比べ・広さ比べ・値段比べ・重さ比べを行い,様々な教科で学習した内容,使用した教具を使って活動をした。それぞれの教科で学んだり体験したりしたことが,外国語を用いても生かすことができる,また他教科等での学習や体験に関連した新しい知識を外国語活動で得ることができる,という体験によって,活動への意欲を高めることができると考えた。

また,本単元では Which is -er, A or B? という表現に慣れ親しんだ。A or B?という語尾をとらえて,2つのうちの1つを選ぶ場面であることに気付くことができた。クイズをしながら何度も用いることで,-er という表現が2つのものを比べてどちらが〜かを表すことができることを体験的に理解していく。このことは,学習指導要領における外国語活動の目標の一つの柱である「言語や文化についての体験的な理解」の実感を促すこととなる。

(2)単元について

本単元では,単元を通してクイズに取り組んだ。初めに,テープや鉛筆等を持ち寄って,どちらが長いかを当てるクイズを行った。第2時には,都道府県カードを用いて,どちらが広いかを当てるクイズを行った。社会科等で得た知識や地図をヒントに取り組んだ。第3時には学校備品や文房具を見て,どちらの値段が高いかを当てた。普段学校で利用している物の値段は知らない物が多く,その大きさや材質によって値段を想像して取り組むことができた。

本稿で紹介する第4時は,児童が家から持ち寄った身の回り品の重さ比べクイズに取り組んだ。これまでのクイズの経験から,小さくても意外に重い物,またはその逆の物を揃えれば,クイズに挑戦する仲間が楽しむことができると考えて準備をし,活動への意欲を高められた。クイズが終わるとLet's check.と言い,問題の物をデジタルばかりで計測した。It's eighty-four grams. などと数を読み,出題者と挑戦者とで答えを確認した。実際に計測して視覚的に理解するという手順が,児童にとっては楽しいことであり,場面に合う言葉を体験的に理解することにもつながっている。

また,これらのクイズでは That's right. Good job.といった相手を賞賛する言葉,Better luck next time. Sorry.など相手を励ましたり思いやったりする言葉を使用できる場面が多くある。それらの小さな言葉をモデルスキットや教師からの評価で使用することが,コミュニケーションを円滑にすることに気付かせることを意図した。

単元指導計画(全4時)

1 2
目標 長さ比べクイズを通して,どちらが長いかを尋ねる表現に慣れ親しむ。 広さ比べクイズを通して,どちらが広いかを尋ねる表現に慣れ親しむ。
主な表現 Which is longer, A or B?
A is longer. meter, centimeter
What do you think?
Let's check.
That's right. Good job.
That's wrong. Better luck next time.
Which is larger, A or B?
A is larger.
square kilometer
arrow
使用教具
  • いろいろな長さのひも,えんぴつ等
  • 長さを表したボード
  • クイズチャレンジシート
  • 都道府県カード(表面に地図,裏面に面積)
  • 掲示用日本地図
  • クイズチャレンジシート
主な活動 Teacher's Time いろいろな長さの単位
(メートル,インチ,マイル)
Which runs faster?クイズ
(いろいろな動物の走る速さ比べ)
活動名 「どちらが長いかなクイズ」
  • いろいろな長さのひもやえんぴつの一部を見せてどちらが長いかを当てる。
「どちらが広いかなクイズ」
  • 都道府県から2つの都道府県を選び,どちらの面積が広いかを当てる。
Activities
Skit
(T1 はチャレンジャー,T2 は出題者)
T1:
Hello.
T2:
Hello. Let's try どちらが長いかなクイズ.
T1:
O.K.
T2:
(長さの違う2本のテープを持っている。その一部を見せて)
Which is longer, A or B?
What do you think?
T1:
A is longer.
T2:
Let's check.
(隠していたテープを見せて)
Yes, that's right. Good job.
Here you are.
(正解シールを渡す。)
T1:
Thank you.

Fun with MATH: 1 p.66 Comparing size, 2A p.28 Length で扱われている活動

  • 学級を半分に分け,それぞれチャレンジャーと出題者に分かれて活動する。活動の半ばに役割を交代する。
(T1 はチャレンジャー,T2 は出題者)
T1:
Hello.
T2:
Hello. Let's try どちらが広いかなクイズ.
T1:
O.K.
T2:
(都道府県カードの中から2枚選んで)
Which is larger, Aichi or Mie?
What do you think?
T1:
Aichi is larger.
T2:
Let's check.
(カードを裏向けて)
Aichi is 5164 km2.
Mie is 5777 km2.
So, that's wrong. Better luck next time.
T1:
Oh, no.

Fun with MATH: 1 p.142 Comparing size, 4A p.82 Area で扱われている活動

評価 関心意欲 態度 準備した物を使って進んでクイズを出題している。
慣れ 親しみ どちらが長いかを尋ねる表現に慣れ親しんでいる。 どちらが広いかを尋ねる表現に慣れ親しんでいる。
気付き Which is -er?で2つの物を比べて尋ねることができることに気付いている。
3 4(本時)
目標 値段比べクイズを通して,どちらが安いかを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しみ,相手の理解を確かめながら積極的にコミュニケーションを図る。 重さ比べクイズを通して,どちらが重いかを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しみ,賞賛や励ましの言葉をかけながら積極的にコミュニケーションを図る。
主な表現 Which is cheaper, A or B?
A is cheaper.
yen
arrow02
Which is heavier, A or B?
A is heavier.
gram, kilogram, ton
arrow02
使用教具
  • 学校備品カード(裏面には値段)
  • 文房具カード(裏面には値段)
  • クイズチャレンジシート
  • はかり
  • 重さを比べる身の回り品(児童各自が準備)
  • クイズチャレンジシート
主な活動 Teacher's Time 値段当てクイズ
(身の回りのものの値段クイズ)
いろいろな重さの単位
(グラム,ポンド,オンス)
活動名 「どちらが安いかなクイズ」
  • 身近な学校備品や学用品の値段を比べてどちらが安いかを当てる。
「どちらが重いかなクイズ」
  • 身の回り品を選んでどちらが重いかを当てる。
Activities (T1 はチャレンジャー,T2 は出題者)
T1:
Hello.
T2:
Hello. Let's try どちらが安いかなクイズ.
T1:
O.K.
T2:
(2枚のカードを選んで)
Which is cheaper, A or B?
What do you think?
T1:
A is cheaper.
T2:
A is cheaper? O.K.
Let's check.(カードを裏返して)
A is 7800 yen. B is 5200 yen.
So B is cheaper.
Better luck next time.
T1:
Oh, no.
(T1 はチャレンジャー,T2 は出題者)
T1:
Hello.
T2:
Hello. Let's try どちらが重いかなクイズ.
T1:
O.K.
T2:
(2つの物を手に取り)
This is a marker.
This is a ruler. O.K?
T1:
Marker and ruler.
T2:
Yes. Which is heavier, this marker or this ruler?
T1:
This ruler is heavier.
T2:
Ruler? O.K. Let's check.
(はかりにのせ,目盛りを指し示しながら)
This marker is 12 grams.
This ruler is 17 grams.
So this ruler is heavier.
Good job.(正解シールを渡す)

Fun with MATH: 3B p.28 Weightで扱わ れている活動

評価 関心意欲 態度 指をさしたり繰り返し言ったりして相手がわかるように伝えようとしている。 賞賛や励ましの言葉をかけながら活動を進めようとしている。
慣れ 親しみ どちらが安いかを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しんでいる。
気付き -er のついた言葉でより重い(長い/広い/安い)ということを表すことに気付いている。

評価の観点

コミュニケーションへの関心・意欲・態度

クイズを楽しむために進んで準備をし,相手が理解できるように伝えたり,賞賛や励ましの言葉をかけながら活動しようとする。

外国語への慣れ親しみ

どちらが長い(広い/安い/重い)かを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ。

言語や文化に関する気付き

-er のついた言葉でより長い(広い/安い/重い)ことを表現できることに気付く。

Fun with MATH との関連

長さ比べクイズ Fun with MATH(啓林館小学校算数教科書英訳本)
1 長さ比べクイズ Book 1 - 9 Comparing size
Book 2A - 3 Length
Book 2B - 13 Lengths over 100 cm
Book 3A - 7 Time and distance
Book 6B - 15 Units indicating amount
2 広さ比べクイズ Book 1 20 Comparing size(2)
Book 4A - 7 Area
Book 6B - 15 Units indicating amount
3 値段比べクイズ
4 重さ比べクイズ Book 3B - 12 Weight
Book 6B - 15 Units indicating amount

本時(第4時)の展開

(1)本時の目標

重さ比べクイズを通して,どちらが重いかを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しみ,賞賛や励ましの言葉をかけながら積極的にコミュニケーションを図る。

(2)Fun with MATH (KEIRINKAN)との関連

啓林館小学校算数教科書英訳本Fun with MATH 3Bで重さを扱っている(p.28~ Weight)。その中のはかりを使って身の回りの物を計測する算数的活動を活用して教材化を図った。Fun with MATH では,上皿てんびんやはかりを使った活動となっている。本時は計量した重さも英語で表現できるように,デジタルばかりを使用した。

学習活動 指導上の留意点及び評価

1. Song Time

2. Teacher's Time

  • いろいろな重さの単位についての話を聞く。日本の昔の重さの単位や,世界で使われている重さの単位を知り,それぞれの歴史や生活習慣が異なることに気付く。

3. Challenge Time

【活動】Let's Try どちらが重いかなクイズ
【めあて】
・ほめ言葉や励まし言葉を使いながらクイズを楽しもう。

(1)教師によるスキットを見たり聞いたりして,本時の 活動を知り,活動のめあてを決定する。
T1:
Hello.
T2:
Hello. Let's try 重さ比べクイズ.
T1:
O.K.
T2:
(2つの物を手に取り)
Which is heavier, this marker or this ruler?
What do you think?
T1:
Let me see... This ruler is heavier.
T2:
Ruler? O.K. Let's check.(はかりに乗せる)
That's right. This ruler is heavier.
Good job. (正解シールを渡す)
T1:
Thank you.
(2)出題者とチャレンジャーに分かれてクイズに取り組 む。
  • 出題者は準備してきた身の回り品を使ってクイズを出題する。
  • チャレンジャーは空いているブースを次々回ってクイズに挑戦する。
(3)教師によるコメントを聞き,後半の活動に生かす。
  • 活動前半で見られた仲間のすばらしい姿を知り,後半の活動への意欲を高める。
(4)出題者とチャレンジャーの役割を交代して同様に活動する。

4. Kira-kira Time

  • 活動の目標に沿って自己評価をする。
  • English Leader の振り返りを聞く。
  • 教師による活動の評価を聞く
  • Teacher's Time では,様々な重さの単位を聞かせ,日本と世界の共通点と違う点に気付かせる。
  • 本実践では,上野動物園のパンダの体重や国産の人気車の車両重量などをクイズにした。遊び歌に使われる「もんめ」という単位が重さであることも扱った。
  • 教師によるモデルスキットでは,チャレンジャーが正解する場合と間違える場合を見せ,どちらも相手を思いやる言葉を添えると,活動が充実させられることに気付かせる。
  • 事前にクイズの予告をしておき,重さ比べをするものを持参させる。クイズではデジタルばかりを使用すると,重さを読みながら活動することも期待できる。
  • クイズに用いる表現やチャレンジャーにかける言葉に慣れ親しむことができるよう,一緒に活動をして何度も聞かせる,真似して言わせる等の支援をする。
  • Fun with MATH 3B
    p.28 Weight “How much does it weigh? ” で扱われている活動を活用した。
評価の観点
  • 賞賛や励ましの言葉をかけながら活動を進めようとしている。 (コミュニケーションに対する関心・意欲・態度)
  • -er のついた言葉でより重い(長い/広い/安い)ということを表すことに気付いている。(言語・文化に関する気付き)
  • Great! Excellent! Nice try. などの言葉を使って活動を楽しむ姿を認め広める。

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家庭から持ち寄った物でクイズを楽しむ児童(授業写真1)

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デジタルばかりを使用すると比べやすい(授業写真2)

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広さ比べに使用した都道府県カード(教材写真1)

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値段比べに使用した学校備品カード (教材写真2)