- 第5学年の「面積」は,三角形と平行四辺形のどちらから導入するのがよいでしょうか。
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第5学年の「面積」の学習では,三角形と平行四辺形のどちらを先に扱っても構わないのですが,弊社では三角形先行の展開をとっています。その理由は,どんな多角形も必ず三角形に分割できるというのが最大の理由であり,身の回りには平行四辺形のものがほとんどないことも理由の1つです。最も有用性が高い三角形を最も印象の残りやすい最初に扱い,いろんな場面で実際に適用することに意義があると考えています。
ところで,平行四辺形先行のほうがよいという考えでは,主に,
- (1) 平行四辺形の方が,長方形に等積変形する仕方がいろいろ考えられるので,子どもから多様な考えを引き出すことができる。
- (2) 三角形を2つ合わせて平行四辺形にすれば,三角形の面積は平行四辺形の半分と考えて求められる(特に,この考えは高さが外に出る三角形の場合に有効である)。
の2点が理由として挙げられます。
そこで,現行の教科書では,「面積」の展開を次のように改訂しました。
- 三角形の面積の求め方(高さが外側に出ない場合)
- 一般四角形の面積の求め方(三角形に分割して考えること)
- 平行四辺形の面積の求め方(三角形分割&長方形への等積変形)
- 高さが外側に出る三角形,平行四辺形の面積の求め方
このような展開にした主な理由としては,
- (1) 三角形が基本図形であり,三角形に分割する考えは,面積に限らず,後々に用いる場が多いこと(上で述べたとおりです)
- (2) 先に,三角形に分割する考えを扱っておくと,平行四辺形の学習の際,長方形に直す考えの他に,三角形に分割する考えも使えるので,より一層多様な考えが子どもから引き出せること
- (3) 高さが外側に出る三角形については,回転移動による等積変形の考え(教科書での扱い)の他に,平行四辺形の半分と考えることもできること
- (4) 高さが外側に出る図形は三角形だけでなく平行四辺形にもあるので,それらを特殊なものとしてまとめて取り上げるほうが学習しやすいこと
の4点が挙げられます。