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生活を豊かにする算数教材の開発 | ||
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1.量の導入に際して 本校では,「心豊かに 夢を育む子の育成」をめざしている。日々の教育課程の全領域で目標具現化をめざして取り組んでいる。算数科においては,「日常の事象について・・・・・進んで生活に生かそうとする態度を育てる」と学習指導要領教科目標に明記されているように,生活を実生活と結びつけた指導をしたい。 量には,物の個数,長さ,広さ,重さ,時間などがある。ここでは長さについて,大小比較を通して,量概念を育成することと測定の素地を経験させることをねらいとする。そこで,生活場面での大小比較の必然性を認識させることからはじめたい。つまり,「算数のよさを実感させる」場面を学習の中にうまく設定して,直接比較から媒介物を用いる間接比較へと発展させ,任意単位を経て第2学年以降の普遍単位による測定へとつなげたい。 2.1年の児童にとって「長いもの」とは 本校の1年生は,遊びが大好きで好奇心が旺盛である。量や測定に関する学習ははじめてであるが,生活の中では「長さ」を意識した言動は見られる。そこで,児童の実態把握のために「長さ」についての意識調査を行った。(1)問い:「長いものって何ですか」 (2)方法:個別に聞き取り (3)調査結果(41名中34名が回答)
15年前の調査結果(1993口吉川小にて実施:対象28名)でも,へび(5人)に続いて鉛筆(3人)木(2人)棒(2人)ミミズ(2人)富士山(2人)が登場していた。児童の「長いもの」の概念は,見た目で「細長いもの」や「高いもの」であり,15年前も今も「長い」と感じる対象は似かよっており主観的かつ多様である。長さの学習に際して,直接比較からの導入し慎重に扱っていく必要がある。 3.教材づくりのポイント (1)教材名は「へびのせいくらべ」に決定この期の児童の学習意欲を持続させるためには,常に興味関心を喚起するような教材と学習展開が必要である。また,45分間の内容が抽象的・理論的に陥らないように配慮していきたい。本校の子どもも生き物が大好きである。そこで,多くの児童になじみのある「へび」を導入素材に選び,算数的活動を多く取り入れた教材を作成した。とぐろを巻いた蛇,ニョロニョロの蛇,蛇のイメージにはシャンと背筋を伸ばしたものは少ない。だからこそ,子どもたちにとって,蛇は長さ比較に興味深い素材となる。つまるところが,教材名「へびのせいくらべ」の誕生である。 (2)教具はキレ紙の蛇で では,何で蛇を作れば良いかを検討した。日常生活に密着しており,価格が安いものとしては,紙,粘土,ロープが考えられる。さらに低学年の児童には,学習意欲を持続させるために,聴覚からと視覚からの学習刺激を考慮する必要がある。そこで,入学式等に花飾りで使うカラフルなキレ紙を用いることにした。蛇のリアルさを出すよりも,デフォルメ化したほうが扱いやすいという配慮から,次のような「へび」になった。目のシールには個々の名前が記入してある。
(3)導入時の勝負,測定の必然性を設定 素材としての蛇に興味を持った子どもたちに,どのように「長さ」に焦点を当てていくかが,量と測定領域導入のポイントとなる。導入時に,子どもたちに「へび」を作らせるゲームをすると興味関心は高まるが,手作業には個人差が大きく,活動に10分間はかかる。そこで,長さの測定の必然性を持たすために,教師が作成した2つの蛇の大小比較からの導入とした。
(4)本時に定着させること(写真2) 算数的活動を多くすると授業は活性化するが,時として拡散思考のまま学びの共有がでずに授業が終了することがある。そこで,次の3点は板書を行いノートにも書かせて確実に定着させる。 長さくらべでは
(5)音響効果と仕掛けのお楽しみを(写真3) 最後に,「長いへびづくり」に挑戦させる。その際,子どもたちは夢中になるので,時間の約束が守らせ難い。そこで,音楽テープをかけて(トトロ歌なし約3分間)終わるまでは活動できるという学習場面の設定を工夫する。学習の終末として,全員一斉に「へびのせいくらべ」の仕掛けを講じると教室は大いに盛り上がるであろう。 4.学習の展開 (準備物)色キレ紙 ○シール 音楽テープ 長いロープ セロテープ
(参考資料:三木市立口吉川小学校第1学年算数科学習指導案 1993, 10, 31)
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