数学的な考え方にはいろいろな見解があり,これを定義することは難しいといえます。ここでは,1.思考の対象に関するもの,2.数学的な方法に関するもの,3.数学の内容に関するものに分けて考えることにします。
1.には,抽象化・具体化する,数量化・図形化する,記号化する,形式化する,一般化・特殊化する等が挙げられます。2.には,帰納的な考え方,類推的な考え方,統合の考え方,発展的な考え方,拡張的な考え方,演繹的な考え方などが含まれています。3.には,算数の各内容を支え,これを生み出してきた考え方が含まれ,学習内容に則していろいろな考え方が挙げられます。これは,本指導書で単元の目標の中に明示しています。
いずれにしても算数の学習では,数量や図形についての知識・技能を身につけたり,概念や原理・法則を明らかにしたり,問題解決をしたりする際には,数学的な考え方が重要な働きをするものです。したがって,指導にあたっては,この学習ではどんな数学的な考え方を活用して,どんな数学的な考え方を育てるのかを明らかにして取り組むことが大切です。
例えば,長さの指導では大きな単位の必要性に気づかせ,mを使って数値化します。また九九表の指導では各段に共通するきまりを見つけ,一般化して言葉にまとめるなど,どの教材にも数学的な考え方が含まれていることに留意することが大切です。