6年
確かな理解へとつなげる指導方法の工夫・改善            
〜授業づくりとノートづくりを視点に〜              
北海道帯広市立清川小学校
高橋 淳一

1.はじめに

 平成21年度から先行実施される学習指導要領の中で,小学校理科の教科目標に「実感を伴った理解」が追記された。そこで,改めて理科教育における「理解」について,学習指導要領をもとに再確認を行った。


2.「3つ理解」について

具体的な体験を通して形作られる理解 主体的な問題解決を通して得られる理解 実際の自然や生活との関係の認識を含む理解

 これら3つの理解をおさえながら,子どもたちに,確かな知識として活用できる概念を残すために,自然の事物・現象をより深く理解できるよう,授業づくりとノートづくりを視点とした,指導方法の工夫改善を行った。


3.指導方法の工夫改善について

  主体的な問題解決を通して得られる理解をより確かなものにするために  

抱えていた課題
時間の経過とともに理解(記憶)が薄れてしまう。
何のために,どんな実験を行い,どんな結果が得られたか答えられない児童が多くいる。
見えてきたこと
実験・観察の「結果」と「まとめ」を混同してしまうことによって,結果ばかりを重視したり,結果にばかり着目したりしてしまう児童が,多くいるのではないか。
工夫改善
従来の授業の流れを見直し,下記のような流れとした。
「結果」と「まとめ」を区別し,「まとめ」の段階では問題や課題から結果までの流れを意識させながら,考察させるようにした。

従来 「問題や課題」→「予想」→「実験・観察」→「結果・まとめ」

改善後 「問題や課題」→「予想」→「実験・観察」→「結果」→「まとめ」

ノートづくり
まとめについては,それぞれの表現方法で,ノートづくりを行わせるようにした。

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留意点
ア. 「文字や言葉での表現」「絵を活用しての表現」については,自己選択にさせている。
イ. 支援の必要な児童については,小さいホワイトボードを活用し,まとめに必要なキーワードを提示している。
ウ. 十分な理解が得られている児童については,その理由についても,記入させるようにしている。

ノート交流 効果と成果
様々な表現方法を知ることができ,自分のノートづくりに生かすことができる。
自分のまとめとの比較をすることにより,より深い理解が得られるようになる。

  実際の自然や生活との関係の認識を含む理解をより確かなものにするために  

抱えていた課題
様々なデータから,子どもたちが,理科の学習を楽しい,おもしろいと思っていても,他教科に比べて,実生活に役立つ,役立っていると思えない傾向が見られる。
見えてきたこと
ものづくりなどへの発展はもちろん,学習したことやその要素が,生活の中のどんな時,どんな場面で役立っているのか,意図的に考察させる必要がある。
工夫改善
単元の導入と単元のまとめ時に活用できる学習プリントを作成した。
プリント活用の手順  

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<単元導入で>

1 単元名を記入
2 単元の全体課題を記入
3 重要なキーワードを記入
(例:「水溶液」「地震・火山」等)
4 単元名やキーワードから連想することを自由に記述
5 既習事項との関連を確認


※学習プリントは,こちらからダウンロード(PDF形式:414KB)(自由にご活用下さい)

<単元のまとめで>

6 学習の振り返り
7 学習したことが,生活の場でどのようなものに生かされているかを考察し,より具体的なものを追記

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参考文献:小学校学習指導要領解説 理科編 平成20年8月 (文部科学省)


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