3人が持っているお金で,1470円のプレゼントが買えるかを考えます。問題が「買えるかどうか」だけをたずねているので,
612+503+408という細かい計算をする必要はありません。
このようなときは,3人が持っているお金を100の位で(100円玉で何個あるかで)考えて,3人の合計金額が1470円をこえるかこえないかを見積もりましょう。
100円玉だけを計算すると,
6+5+4=15 15個
100円玉が全部で15個あるので,1500円
だから,3人の持っているお金で,1470円のプレゼントが買えることがわかります。
実際に,3人が持っているお金には100円玉だけでなく,10円玉・5円玉・1円玉もあるので,合計金額は1500円以上になります。
計算してみると,612+503+408=1523
実際の合計金額は1523円になるので,「1470円のプレゼントが買える」と見積もったことがまちがいでないとわかります。
日常生活では,お店へ買い物に出かけたりする機会がたくさんあります。このようなときに,細かい計算をしないでも,買いたい商品の合計金額がおよそで見当がつくと,持っているお金で買えるか買えないかの判断ができて大変便利です。
480の100にたりないはしたの数80を0とみて(切り捨て)およそ400にしたり,80を100とみて(切り上げ)およそ500にしたとき,このおよそ400や500の数のことを概数といいます。
日常では正確に計算しなくても,概数を使って大体の金額を見積もることがよくあります。
例えば,下のように買いたい商品の値段を切り上げを使って概数にし,合計金額を見積もって,持っているお金で買えるかどうかの判断ができます。
3つの商品を切り上げて合計した金額は,
500+300+200=1000 1000円
実際の合計金額は,多く見積もった1000円よりも少ないので,持っている1000円で買えることがわかります。
さらに、こんな問題も考えてみましょう。
学校で使うノートや教科書,コピー用紙には,A判やB判とよばれる大きさの紙がよく使われます。
A判はドイツでつくられた紙の規格です。B判はA判の1.5倍の面積があり,日本でつくられた規格です。
A判,B判とも縦と横の長さの比は1:約1.41で,この比は正方形の1辺と対角線の長さの比になっています。日本に古くからある仏像や絵画,建物にも見つけることができる比で,「白銀比」とよばれています。
白銀比でつくられた長方形は,半分にしても形が変わりません。縦と横の比が,ずっと白銀比のままだからです。
A判,B判の紙には,それぞれ0~8までのサイズがあります。
例えば,A判では,A1の半分がA2,A2の半分がA3,A3の半分がA4…と,下の図のようになっています。紙をつくるときに無駄がなく,また,どのサイズも形は同じなので,拡大や縮小もしやすい,とても便利な規格です。
曲尺(かねじゃく)は大工道具の1つで,「差金(さしがね)」「かねざし」ともよばれます。
長いものさしと短いものさしが直角に組み合わされ,表と裏の両方に目もりがついています。
曲尺の表側は表目といい,左のような実際の長さを表した目もりがついています。
裏側は裏目といい,右のように内側と外側で違った目もりが刻まれています。外側の目もりは表目と同じですが,内側の目もりには丸目と角目があります。
このように,曲尺には3種類の目もりがついているのです。
日本の伝統的な木造建築には,反り上がった屋根や軒など,部材を複雑に組み合わせたものがたくさんあります。日本の大工さんたちは曲尺を用いて,部材に墨(現在はボールペンを使うこともあります)をひき,加工を施します。
曲尺がいい加減なものであれば部材の加工も不正確になってしまうので,できのよい曲尺を求めて昔の大工さんたちは大変苦労しました。明治時代に鋼でつくられた良質な曲尺は,大工手間賃で1週間分もする大変高価なものだったそうです。現在では,ステンレス製の精度が高くて良質なものが,安価な値段で量産されています。
曲尺は,直線をひいたり長さを測ったりするだけでなく,平行線や等間隔の線をひいたり,45°の角をつくったりするなど,いろいろなことができます。
裏目にある角目は,丸太の直径を測ったときに,その丸太から切り出すことのできる角材の1辺の長さが示されるようになっています。表目の倍の間隔で目もりが刻まれているので,この目もりで測ると,実際のの長さで示されます。
丸太の直径は,切り出す角材の対角線になるので,そのは,角材の1辺の長さということになります。
丸目は直径を測ったときに,その丸太の周の長さが示されるようになっています。
例えば,丸太の直径が5cmであれば,それを丸目で測ったときに示される値は5cm,つまり約15.7cmになります。
このしくみは,表目の1/倍の間隔で目もりが刻まれることによって,この目もりで測った長さは実際の倍で示されるというものです。
右の図は視力検査をするときに使うもので,考案したフランスの眼科医ランドルトの名にちなんで,「ランドルト環」とよばれています。
視力の値は世界共通で,標準ランドルト環は,環の太さとすき間の幅が外径の1/5と 決まっています。
外径7.5mm,太さとすき間の幅が1.5mmのランドルト環は,視力1.0のランドルト環指標と定められています。このランドルト環を5m離れた位置から見て,すき間が判別できれば1.0の視力があります。
ランドルト環の大きさは変えずに,xm離れた位置から見て,すき間が判別できたときの視力をyとすると,距離と視力には,
という比例の関係があります。
しかし,この関係を使って視力検査をするには,すき間を判別できるまで距離を変えていかなければならないので大変不便です。
そこで,実際には,ランドルト環からの距離5mは変えずに,環の外径とすき間の比率を保ったまま大きさを変えて,検査に使っています。
この場合,環のすき間をxmm,視力をyとすると,環のすき間の幅と視力には,という反比例の関係があります。
ランドルト環のすき間の幅は直径に比例するため,ランドルト環の直径も,視力に反比例するといえます。
視力検査表には,さまざまな大きさに拡大・縮小されたランドルト環が並んでいます。 次の計算式を使うと,それぞれの視力を調べるときのランドルト環の大きさが求められます。
ランドルト環の直径= 7.5÷視力
ランドルト環の太さ・すき間の幅= 1.5÷視力