授業実践記録 | |
対話重視の入試問題演習 | |
栃木県立宇都宮北高等学校 山木厚志 |
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1.はじめに
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昨年来,大学での講義の様子を再現した書籍やDVDが書店に平積みされている.代表的なものは,ハーバード大学のマイケル・サンデル教授関連のものだろう.その講義の模様は「ハーバード白熱教室」というタイトルでテレビ放映された.以後,「白熱教室」という言葉を新聞その他いろいろなところで目にするようになった.
朝日新聞2011年1月1日付 ※この記事の内容はWebでも見られます |
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2.きっかけ
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今年の正月,上で紹介した新聞記事を読んだ.ここ数年,私は数学的表現や数学に限らず自分の考えを書いたり話したりすることに関心をもっている.新学習指導要領でも思考力・判断力・表現力等の育成が明記されている.そこで今年度は,3年生の授業で「対話」を重視してみようと考えた. |
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3.実際の授業
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授業の対象は国立文系コースの生徒である.コースに在籍する生徒は2クラス90名で,習熟度別授業を実施している.2クラスを3展開(アドバンス1クラス,ベーシック2クラス)にし,私はベーシッククラスで29名を受け持っている.この29名の実態であるが,1学期最初の課題テストの結果から,ほとんどの生徒が宿題や自主的な復習をしておらず,既習の基本事項が定着していないと思われる.3年生は教科書終了後,入試問題演習を行う.事前に生徒に問題を割り当て(私の場合は一覧表を作って配布していた),生徒が割り当てられた問題の解答を板書して,その答え合わせを行うスタイルはどの学校でもやっていると思う.私の場合,扱う問題の難易度にもよるが,これまで1回の授業で平均3問ぐらいは進んでいただろうか.中には十分消化しきれずに伸び悩む生徒もおり,特に文系の生徒の中には途中で数学をあきらめてしまう者もいた.それを何とか防ぎたいと思い,そこで考えたのが対話を重視した指導なのである. どうすれば対話の多い授業ができるのだろうか.試している方法は以下の通りである. > 生徒たちに挙手を求める質問をする
> ひとつの問題から話を広げる
> 生徒の誤答から話を広げる
> 振り返りシートでテストの見直しを徹底する
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4.授業をやってみて
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このような調子で授業をやっているので,問題数ははかどらない.50分2コマで1問しか進まなかったこともあった.板書の割り当ては授業の終わりに次の時間分を指名するので,生徒は緊張感を持って授業に臨んでいる.2学期は次の時間に取り扱う問題番号だけを指示し,板書の指名は当日の朝に行っているので,生徒はもっと緊張しているかもしれない.本校では1学期と2学期の終わりに,生徒に対して授業改善のためのアンケートを実施している.内容は
である.進度については全員が普通と答え,分かりやすさについては9割の生徒が分かりやすいと答えた.また,自由記述には以下のものがあった.
このことから,生徒には好意的に受け止められていると考える.数をこなすことより理解することを優先する方針をこの後もしばらく続けてみたい. 参考文献 |