授業実践記録 | |
直感に訴える授業の導入について |
|
茨城県立佐和高等学校 添泉智美 |
|
1.はじめに
|
|
無限を含む授業内容において生徒はなかなかイメージがわいてこないようである。そこで,直感的にイメージをわかせるような導入を,「微分係数」「無限等比級数の和(収束するもの)」について考えてみたい。 |
|
2.無限等比級数の和
|
|
問 の無限等比級数の和を求めよ。 一般的には,公比 r <1より,この数列は収束するので 上図のように一辺が1の正方形を順次切り分けていくと徐々に面積は1に近づいていくが,決して1を超えることがないことがわかる。 以上のように の等比級数はある一定の値に近づくことがわかる。 |
|
3. 微分係数
|
|
微分係数の値が,接線の傾きであることの説明として関数 f (x)において x の値が a から a+h まで変化するときの平均変化率 が,2点間の傾きであり,ここで h を限りなく0に近づけていくと,この直線は,定直線に近づいていく。この直線をこの点における接線といい,このときの値を,接線の傾きという。と説明されているが,生徒達は,なかなか実感がわかないようである。 そこで,次のような方法をとってみた。 生徒に,次のような発問をしてみる。 「関越自動車道の群馬県と新潟県の県境に長さ約10kmの関越トンネルがあるが,左右のカーブもあるが中央部分まではほぼ上り坂で,その後はほぼ下り坂になっているが何故だかわかるか?」
地球の半径 r は約6370km
AHは,トンネルの長さの半分約5km BHは,地表からの深さ BH=OB−OH OB= r ,OH2=OA2−AH2 以上より BH=6370− =1.96×10−3 となり約2m低くなっている。 さて,次に50mプールでは中央部ではどのくらい盛り上がっているか生徒に予想をさせる。 r =6370000− =4.9×10−5 m となりおよそ0.05mmとなりほとんどふくらみはなく,直線と考えてよい。 |
|
4.終わりに
|
|
数学の苦手な生徒にとって,概念や数式のみで説明を行ってもイメージがわかず,とまどうことが多い。しかし,これはあくまでも導入であり,各項目へのきっかけである。この後できちんと理論付けと一般化を行う必要がある。 この内容で実際に授業を行ったが,少なくともこの部分に関しては抵抗感が少なかったと思う。 |