授業実践記録 | |
オイラーの定理への誘い 総合学習での「数学の発展的内容の展望」の教材として |
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愛知県立西尾東高等学校 石川邦利 |
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1.はじめに
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3年の総合的な学習の時間で,各教科の発展的な内容を講義する機会があったので,数学 III の「近似式」から発展させて「オイラーの定理 」へ至る授業を行った。高次の近似式の説明には関数グラフソフト「GRAPES」を用いて,視覚的にその有効性を理解させた。 |
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2. 展開
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一次近似式 の延長として
n 次近似式
を紹介し,次数が増えるほど,近似が良くなっていくことを,「GRAPES」を用いて説明した。「GRAPES」に は,サンプルがあり,以下の例をコンピュータを用いて見せた。
次数を上げていくにつれて,確実に近似が良くなっていくことが視覚的に認められたら,無限級数として,次のテーラー展開が成り立つことを示した。
ここで ex に形式的に x =i θ を代入して,i 2=-1 に注意しながら展開,整理して,
を示した。(ここは実際に生徒にていねいに計算をさせて発見させるのがよい)
より
を示し,三角関数の加法定理が指数法則になることを示した。
となり,今までの数学の中で重要な数である π, i, e がすべて現れ,簡単な関係で結ばれていることを示した。 |
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3.おわりに
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複素数を経由することにより,指数関数と三角関数が結びついてしまうことのおもしろさを少しでも理解してもらえたのではないかと思う。大学に進学してからオイラーの定理に出会っても,少しは容易に受け入れられるのではないかと期待している。また,コンピュータを利用した授業は,テーラー展開という難解な内容を,容易に納得させてしまう力があり,積極的な活用に心がけたい。また,この様な,高等学校の枠を超えた内容は,厳密さを割愛しているからこそ「総合的な学習の時間」で扱うにふさわしいものだと思う。 |