授業実践記録 | |
立体模型で合成関数の最大・最小問題を解く | |
富山県立水橋高等学校 川西嘉之 |
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1.はじめに
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いわゆる進学校に勤務して20数年になる。数 I や数 II の単元で、2次関数の応用問題として、関数の最大・最小問題(置き換えをすると2次関数に帰着できる問題)や点の軌跡の問題がある。
これらの問題については、生徒は何回か練習することによってだんだん「解ける」ようにはなるが、どの程度「わかっている」かは、疑問であると思われる。 |
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2.入試問題の一般的な解法
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ここでは、生徒の中では、文字 x は変数、文字 a は係数として区別して捉えられているとしよう(ここもずいぶんあやしい生徒が多いと思われるのだが)。 |
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3.立体模型で考える
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〈立体模型の作り方〉 (ア)立体模型の構成
(ア)を、xy 平面を正面にして見ると(イ)で、a 軸が消えたように見えるグラフである。また、ay 平面を正面にして見ると(ウ)で、これが m (a)=a2 - a +1 のグラフになっている。 問題2は略 問題3については、数学のアイディアの1つとして「置き換え」があり、それを用いたものである。 xt 平面上で、曲線 t = 2x 上に y の値を表す棒を立てる。 この2つのグラフをつないで、次のような立体模型で考えてみる。
t = 2x は単調増加関数なので、最小となる x の値は1つしかないこともわかる。 問題4の解答例としては、t = sinx とおくと 0 ≦ x <360 より これも2つのグラフをつなぎ、立体模型で考えてみると
本来は(ウ)の xy 平面から見るべきものを、(イ)の ty 平面から見て解いている。また、t = sinx は周期関数なので、t の値に対して x の値は複数あることもわかる。 問題5は「図形と方程式」にある点の軌跡の問題である。解法のテクニックとしては「パラメーターの文字を消去」することで解けるのだが、「パラメーターの文字を消去する」とはどんなことかも考えてみる。 x = - m より m = - x これを y = m2+ m +1 に代入すると、y = x2-x+1 これで生徒はわかったことになるのだろうか。相当疑問である。生徒たちにわかっているのは、1つの m の値に対して x と y の値が1つずつ定まるということである。
ここで、m の値を連続して動かしたいとき、棒を多く立てればよく、m と x と y を含めた全体の様子(ア)が、よくわかる。xy 平面を正面から見ると(イ)のグラフになり、この棒グラフがまるで xy 平面に正射影されているように見える。実はこれが「パラメーターの文字を消去」したことになっているのである。
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