授業実践記録 | |
理数科における課題研究(数学分野)と 数学授業実践例 |
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岡山県立倉敷天城中学校・高等学校 土家槙夫 柴田茂徳 |
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1.はじめに
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理数科における「課題研究」と「数学授業実践例」について報告したい。 |
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2.数学の課題研究について
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2−1本校の課題研究要領 「課題研究」とは数学・物理・化学・生物・地学の各分野から自分たちでテ−マを選び、教員の指導のもと研究し、その成果を発表する科目である。コンピュータをはじめとする充実した設備・器具を使って、自分の興味のある分野を時間をかけて深く探究することができる最も理数科らしい科目である。 <要 領>
2−2数学課題研究の分類と本校の研究内容 今まで,本校で実施した課題研究や他校の研究発表から,数学の課題研究は大きく次の5分野に分けることができると考える。
過去の研究テーマと上記に基づく分野は次のとおりである。「[1]調べ学習的な研究」が多いことが特徴である。
2−3 本校における課題研究の実態 この調査より,数学の課題研究はテーマ設定に生徒・教員ともに非常に苦労していることがわかる。また,テーマが決まっても研究の仕方,方向性に悩んでいる。この原因を次のように考える。
私たち自身も,初めて課題研究を担当したとき、テーマ設定や研究方法に苦しんだ。「2年生の初旬の知識では無理なのでは」とも思った。しかし,よくよく課題研究の本質を考えると,何も立派なことをする必要はない。日頃不思議に思っていることや,感じていることをテーマにすればよい,その内容が小学校レベルのことでも構わない。そこから,発展させることは可能なのだから。教員も「何か教える,解らなかったら困る」という変なプライドを捨て,生徒と共に考え悩めばよいし,結果も出せなくてもよいと思う。「何で」「どうして」という素朴な気持ちがあれば,テーマは身近なところに多数あると思う。 |
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3.数学授業実践例
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理数科の生徒は特に探求心が旺盛な面があり,理科では実験等でいろいろな体験をし探求心を満たしていると思われる。数学において,従来のような授業ではこの探求心を生かすことが難しいと思われるし,現実に先の課題研究に関しての生徒アンケートでも,数学に対して「イメージがわかない」,「生物や化学と違い実験や観察がない」,「紙の上だけでやるもの」といった否定的な意見も見られる。毎回コンピュータを使って数学の授業を展開するのも時間的に余裕がないし,プログラムの開発なども大変である。 ○ 授業プリント は授業ノートであり,書き込み式となっている。教科書の内容を中心に作成してあるが,実験プリントとの関連も考えており,参考書から例を引いて発展的な問題も掲載している。理数科の生徒は理解することを中心に考えて授業を受け,ノートを取ることをしない生徒もいるので,解答作成のポイントや,補助的なグラフを記録に残す習慣づけのためにも利用している。生徒とつくる授業の方向性を決めてしまう危険性もあるので,利用する教材には注意すべきである。 ○ TI−92 はグラフ電卓で汎用性が高く,かなりのことができる。操作に慣れた生徒は,予習プリントのみならず,自分でさまざまな実験に使っている。将来的には課題研究にもこの機種が役立つのではないかと考えている。 |
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4.おわりに
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今回,理数科における課題研究と数学授業実践例について報告させていただいた。課題研究の他に,先端研究施設訪問や講演会などの行事が定期的に行われるのが理数科の特徴の1つである。生徒の多くは,そこに関心を抱き期待して本校を選んできているわけだが,日々忙しく,本来の学ぶ喜び,楽しみ,面白さなどを見失っていくこともある。それ故に,理数科を担当していくことは大変であり,いかに生徒自身が楽しく充実している,と感じられる授業実践が行えるか,教師の力量が問われるともいえる。今後も「理数科にきて良かった」と生徒が実感できるよう,さらなる工夫を加えて,行事や課題研究,授業を行っていきたいと考えている。 |