はじめに
日頃生活していて、身のまわりに現れる図形に興味をもつことがある。ここでは、代表的なものについて生徒の関心をひくものを取り上げる。
問題1. |
図のように、町に小学校 A,B,C,D がある。生徒は、自分の住所に一番近い学校に通学するものとして、A,B,C,D 校の通学区を図に記入せよ。
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解説)
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A 校の通学区は、そこに住む人の家を P とすると、AP<BP 、AP<CP 、AP<DP を満足させる点の存在する範囲である。AP=BP となる点Pの軌跡は、AB の垂直二等分線であるから、A の通学区は AB の垂直二等分線を境界として A の側にある。同様にして AC 、AD の垂直二等分線を境界として A の側にある。
B 校、C 校、D 校についても同様で垂直二等分線のよい練習問題である。図形への入門教材としてよい問題だと思う。
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問題2. |
手紙(縦横比 1: )を3等分に折るには、どうすればよいか。
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解説) |
手紙は2等分や4等分よりも、3等分した方が折り方がきれいである。図形の性質を用いて、先ず辺 AB の中点を E とし EC を軸に △EBC を折り返したものを △EHC とする。
頂点 H を通り、辺 DC に垂直な直線 IF が3等分線となる。あとは辺 FC を2等分する。
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問題3. |
幅が一定 a の長さの紙を結んで正五角形を作った時、一辺の長さを求めよ。
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問題4. |
筒袖の形
洋服の筒袖は、肩のところで円筒形の袖を斜めに裁断したものを縫い合わせて作られているが、この斜めの切り口を切り開いて平らにするとどんな曲線が現れるか。
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解説) |
筒袖を半径 r の円柱と見立てると、軸上の点Oを通って軸と垂直な平面をα、また点Oを通って平面 α と θ0 の角をなす平面を β とする。円柱が平面 β によって切られる切り口の曲線上の任意の点Pから下ろした垂線の足を Q、Q から平面 α と β の交線 へ垂線QRを引き、∠AOQ=θ とする。
PR⊥ だから、∠PRQ=θ0、PQ=RQ tanθ0 となり さらに RQ= r sinθ となる。よって、PQ=( r sinθ)tanθ0 =(r tanθ0 )sinθ
今、r =1 で θ0 =45°のとき、PQ= sinθ、 θ0 =60°のとき PQ= sinθ
となり、いずれもサインカーブを表す。
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問題5. |
百円硬貨が2個ある。1個の硬貨は動かないように固定し、もう一つの硬貨をそのまわりを滑らないように一周させたら外側の硬貨は何回転するか。
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解説) |
直感と少し違う結果になり、興味ある問題ではある。百円硬貨は、縁にギザがあるので回転させるのに便利である。
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転がった弧の長さを m 、転がった外接円、固定円の角度を β、α とすると、
このことから、外接円は一周する間に2回転する。 |
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おわりに
身近な図形問題を取り上げたが、手頃で具体的な教材には折り紙があげられる。数学では数理折り紙(オリガミックスという表現を使う人もいる)が、奥深い内容をもっている。いろいろな単元で(例えば極限や収束等でも)使えて話題が豊富である。
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