問題演習の時間がとても大事なことは、ここまで述べてきた通りです。では、その時間をできるだけ多く確保するには、どのように授業を組み立てていけばよいのか。私が行っている授業方法を紹介したいと思います。
○大きな授業の流れ
基本的にはこの図式にしたがって進めていきます。しかし、できるだけ、生徒に考えさせる時間をつくるため、工夫をします。
まず、「@扱う章の基本事項の整理および確認」ですが、ここは、教科書をそのままなぞっていては、とても時間が足りません。そのために、本当に覚えてほしいことを事前にわかりやすくまとめておきます。 「A例題を私が黒板で解く」は、教科書に載っている例題について、数字を変えて私が解きます。なぜなら、教科書の例題を黒板で解くと、黒板の解答と教科書の解答が同じになり(当然ですが)、生徒は黒板の解答を理解しようという意識が薄くなる傾向があるからです。生徒の頭の中では、「教科書に載っているものはノートに写さなくてもいいだろう」という考えが働いているようです。したがって、「いま、自分が学習しようとしていることは何か」、「どのようにすれば解けるのか」を自分で考えさせるためにもこの方法は効果的だと思います。生徒に聞くと、「授業前に教科書を見てもよくわからないけれど、授業後に教科書を見ると理解できることが多いです。」と言います。生徒は、復習の際によく教科書を見るようです。そのときにもう一度考えさせられるのも、いいことではないかと思っています。
「B問を生徒に解かせる」は、私の解いた例題を、さらに数字や問題の条件を変えて、その場で解かせます。机間巡視をしながら各生徒の理解度をチェックします。よくわかっていない生徒が多い場合には、この問を使ってさらに説明を加えます。例題と数字を変えただけで、同じ方法で解けるので、多くの生徒が正解し、ここで「自分で解けた」ということを実感します。私はその感覚が大切だと思っています。
しかし、それで本当にできるようになったかと言えば、そうではありません。多くの生徒は、家で宿題をするときには結構忘れてしまっているのです。毎日6〜7時間の授業を受けて家に帰れば、ある程度、頭の中から抜けていても当然だと思います。そこで、「C宿題を出す」わけです。これは、教科書に載っている問や練習問題をそのまま家でさせます。学校ではできていても、家ではなかなかできないようです。その日学習した内容をもう一度確認しながら問題を解くことで、真の定着をはかります。ここまでで、同様の問題を三回解いていることになります。
基本的には、この例題から宿題までの流れを何度も繰り返します。生徒には問題集も持たせていますが、これを授業中に取り扱う時間がほとんどないので、教科書で扱われていない部分だけ授業で解説することにして、あとは自分でさせています(D)。定期考査ごとに提出させて、きちんとできているか点検しています。
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