授業実践記録 | |
計算法の発達 |
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長野県松本筑摩高等学校 通信制課程 橋爪正男 |
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はじめに
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今日では計算をするときに、計算道具として電卓を用いることが多いが、もちろん簡単な計算は暗算でもでき、つい最近まで、そろばん(珠算)を使ってもいた。 ここでは、算木による計算、中世西欧社会での計算、2進法による計算方法について紹介したい。 |
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1.算木による乗除の計算
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中国宋末、元初に発達した計算方法には天元術とよばれる、紙に碁盤目状の線を引いたものを用い、そのマス目に算木(竹や木で作った棒で、10cmから20cmぐらいの長さ、太さ3mm〜5mm)を何本か用いて計算する方法もあった。
(1)乗法 364×28 の計算
(2)除法 10204÷28 の計算
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2.中世西欧社会での計算方法
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乗法計算に三角関数表を用いて計算をしていた時期もあった。たった1回だけの乗法計算のために、足し算と引き算を繰り返しすることの煩わしさ、また乗法はできても、除法には使えないことの不便さなどにより、この三角関数を用いた計算は、やがて対数計算に置き換わっていくことになった。 例 5248×325 三角関数の加法定理から導き出される、積を和に直す公式 cos x cos y = { cos (x + y ) + cos (x - y )} を用いる。 5248×325
とおくと、0.5248= cos x x ≒1.018 例 log = log 2.951-log 1.247≒0.4699-0.0958=0.3741=log 2.37 よって 約2.37 |
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3.2進法による計算
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2進法は、全ての桁の数を0と1を基にした数値で表現され、コンピュータでの演算に用いられる。この発想を利用して、35×18の計算を、次のようにすることができる。 35の側は2で割り、余りは捨て商だけを下に書いていき、1になるまで書く。18の側は2をかけていく。そして左側の商が偶数になる行は消して、右側の残った数を合計すれば答えが得られる。 35×18 を計算している。 |