自然の造形
アマゾン川・ソリモンエスの奇観
(Aguas Barrentas do Slimoes, Amazon, Brazil)
ブラジル,アマゾン川中流の都市,マナウスから船で約20分下る.
大阪教育大学附属高等学校 柴 山 元 彦

 アマゾン川は本流が7500kmもある世界最長の河川です.熱帯のジャングルの中をゆったりと流れる大河アマゾンは,“アマゾン”という響きとともに私たちのロマンをかきたてます.このアマゾン川のちょうど中流にある都市がマナウスです.
 マナウスは19世紀のゴムブームで大いに発展した街です.この街の港からソリモンエスの奇観といわれる不思議な現象を見学する船が出ています.この奇観というのは,2つの川が合流したときに,それぞれの川の色の違いがそのまま混じりあわずに,下流へ約10km平行になって流れる現象です.
 マナウスの港を出て,川の水の色が黒いネグロ川を下流へ下ること約20分で,褐色の水をたたえたソリモンエス川との合流点に出ます.いずれの川も川幅が3〜5kmもあり,さらにここから川幅は広がり対岸はほとんど見えません.この水の色の違う2つの川は,この地点で合流しても混じりあわずに,延々と下流へ二筋の流れとなって平行に何キロも続きます.
 アマゾン最大の支流であるネグロ川は雨季による水位上昇でジャングルが水没し,その木々から出る樹液で川の水が黒くなります.一方アマゾン本流のソリモンエス川はアンデス山脈を源流として土砂を侵食し流れてくるため,褐色(黄土色)をした川の色になります.これらの川が合流しても,密度や水温が違い,またゆったりと流れるために,水はなかなか混じりあわずいつまでもその状態を保って下流へ流れていくのです.

旅を楽しむ

<マナウス>アマゾン川観光の基地となる街.ジャングルツアー,ピラニア釣り,アドベンチャークルーズなどを楽しむことができる.


飛行機の窓から見たネグロ川とソリモンエス川の
合流点付近に見られるソリモンエスの奇観.
色の違う川水が混じり合わずに下流に
境界をつくったまま流れている
(手前がネグロ川の上流側).

手前の黒い川の水と奥の茶色い川の水との
境界付近を境に沿って走る観光船
(船の左舷少し手前に色の境がある).