生物授業実践記録 |
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仮想現実を生きる現代っ子にこそ 「実物と実体験」を与えたい 〜基礎基本実験をより多く、子供たちへ〜 |
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山形県立上山明新館高等学校 鹿野秀司(かのしゅうじ) |
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はじめに
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本校は樹氷で知られている蔵王山の入り口・エコーライン口のそばに位置する、各学年9クラス・計27クラスを有する山形では1・2を争うマンモス校です。学科も多様で、情報科・食品化学科・園芸工学科各1クラスをはじめ、普通科も文科・理工科・国際教養コースと多様です。 学力的にも進路的にも多様で、1つの目標に絞った授業展開がなかなか出来ない状況にあります。 理系コースにおいては、傍目には、実験で興味を引き、やや強引に進学に向けた授業に引っ張り上げているように映っているかもしれません。とはいえ、この度の単位減を受け、その実験さえもだんだんやりにくい環境にあります。 一方、国際教養コースにおいては、進路先が文系私大短大・専門学校・就職となりますので、「私の授業が諸君達にとって最終学歴。自分と地球を守るための話がわかる力をつけて卒業して行け」とばかりに、市民大学講座ばりの授業を一部実験を交えて行っています。ネタ話というものではなく、各話でびっしり1〜3時間も展開します。 授業テーマには、「肌の荒らし方(コラーゲン)」「血行障害の恐怖」「上手な中性脂肪の付け方(体液・ホルモン)」「アミノダイエットのしくみと欠点補完」「ビタミンダイエット」「茶髪&ガングロ・自爆系アピール」「缶ジュースでキレル方程式」「皮膚常在菌および腸内細菌のいない世界」「殺菌剤でカビを増やす方法」「江戸話」「江戸時代の化学でどこまで出来るか」などがあります。 最近気づいたこだわりとして、職業科、いわゆる情報・食品化学・園芸工学科各科の生徒の成績上昇があります。普通科の諸君より授業時間は少ないのですが、時折化けます。やはり、一つの体系のもとにモノを触っている事実は、大きいようです。普通科においても、実験は大切です。 |
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実験プリントの紹介
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実験書通りにやっても、なかなか成功しないという経験はないでしょうか。 また、実験に成功しても、たとえば重要なデータや手順が欠落していることに改めて気づくということがあります。今回はそのような、あまり実験書に取り上げられていない部分や他より成功率の高い実験の方法について、私なりにまとめたプリントを紹介させていただきます。実験テーマ別に実験プリントなどのPDFデータを以下に列挙しています。 なかには光合成色素分離実験のように、一見、他と変わらないように感じられる実験もありましょうが、どこが違うのか、それはなぜなのか、各「実験解説」に記しましたので、ご覧ください。 ところで、ファイルを開けていただくと判るように、私の実験プリントはだいぶ詳しくなっております。「こんなのは生徒は読まない」というお叱りはもっともだと思いますが、読まない生徒は簡単に書いても多分読まないと思うようになりました。 むしろ、うまくいって得意気になっている友人の顔の方がもっとモチベーションをかき立てるでしょう。そんな気がします。現代の子供たちは明らかに私たちとパラダイムが異なるようです。パラダイムが異なる以上、できる限り多くの実験成功への情報を残した方がいいのかな・・・というコンセプトで実験プリントを作っています。 実験に当たっては、たいてい前時に5分程度で概要説明し、実験、試験前に実験プリントを使って再解説を行い、定着を図っています。 なお、図のほとんどは一太郎の図形作成機能で作っています。また、半分は私のオリジナル実験でないものも含まれますが、参考文献は複数あり、あくまで授業紹介ということでお許しください。
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