おすすめの一冊 |
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『科学者と中国古典 名言集』 | ||
著者:藤嶋 昭 守屋 洋 発行所:朝日学生新聞社 A5判 256ページ 定価:本体1800円+税 |
最近の科学の進歩はすばらしい。IoTだ,AIだ,ビッグデータ,自動運転とそのスピードについてゆくのが大変である。 今から50年前は,自動車だ,カラーテレビだと言っていたし,100年前は汽車だ,電話だと言っていた時代である。 さらにさかのぼって,日本の戦国〜江戸時代には,ヨーロッパではルネッサンスがおこり,コペルニクス,ケプラーそしてガリレオによって地動説が主張され,ニュートンが活躍した時期でもあった。 ガリレオの少し前には,フィレンツェでダ・ヴィンチ,ミケランジェロそしてラファエロが活躍する。特にラファエロは,いまもバチカンにある大きな壁画「アテネの学堂」に,2,000年以上も前にギリシャで活躍したプラトン,アリストテレス,ピタゴラスなどを描いている。 このアテネ時代とほぼ時を同じくして,ユーラシア大陸の東の端,中国では孔子を始めとする偉人たちがすばらしい言葉を残している。論語であり,荘子である。 さて,本書は,中国古典の大家である守屋洋先生と,科学を専門にする私との共著としてまとめたものであり,本書での写真は,動物写真の権威の田中光常先生の作品である。今までに類を見ない組み合わせではないかと思う。 私自身は中国古典に関心をもって守屋先生の本を多く読み,半年前に本書と同じ朝日学生新聞社から『理系のための中国古典名言集』を出版した。この本で,幸いなことに表紙の帯に守屋先生から推薦の言葉をいただく機会を得た。このような経緯があって,今回の出版となった次第である。 中国古典の権威である守屋先生と御相談し,科学の偉人と中国古典の偉人が残した言葉との類似性,関連性をまとめてみることにし,本書となった。 共通の考えになっているものもあるし,少し意味が離れているものもあるが,読者の方々のお考えを加えて楽しんでいただければ幸いである。 (東京理科大学学長/東京大学特別栄誉教授・藤嶋 昭) |