広島大学と株式会社パデコさんが共同企業体を形成し,2004年から実施しているプロジェクト「バングラデシュ本邦研修」に今年もサポートさせていただきました。この研修プログラムで啓林館が頂いた講演内容は「日本における理科と算数の教科書開発について」。研修員はバングラデシュ国家カリキュラム教科書委員会で教科書・指導書の開発に携わっている方々,ダッカ大学の理数科・技術教育学部で初等教育の授業を行っている先生方です。
先ずは互いの国の教科書制度についてディスカッション。バングラデシュでは国家カリキュラム教科書作成委員会が学習指導要領や教科毎のカリキュラムを作成し,生徒の到達点や目標を定めて教科書を作成するそうです。
続いて教科書制作について意見交換をしました。日本では文科省が定める学習指導要領に基づいて教科書が作られることや教科書検定制度があることに関心が高く,次々に質問の声があがります。バングラデシュでは初等教育で9教科あり,国語・算数・英語・理科・環境・道徳・体育・音楽・図工を指導するとのことでした。日本の教科書内容や系統表,教科書に付属している教具に興味津々な様子です。
教育のデジタル化についても両国の大きなテーマです。バングラデシュでは国内にいる子どもたちのためだけではなく,海外にいるバングラデシュの子ども達のために,Webページからデータを無償で配信しているとのことでした。折角なので,弊社のデジタル教科書も実際に操作してもらいました。
今回の研修では「日本の教科書開発を紹介する」ことがメインテーマではありましたが,バングラデシュにおける教育制度や教員養成課程など,私たちも本当にたくさんのことを勉強させていただきました。「カラー紙面によって判りやすい教科書が出来たがコストが掛かって…」という言葉がでるなど,教科書制作者の悩みは万国共通。共有できたのは1日という僅かな時間でしたが,「バングラデシュとニッポンは国旗も色が違うだけだし,似ているね!」という言葉が印象的でした。
「理数は世界共通語である」という考えのもと,啓林館はこれからもJICA教育支援の取り組みをサポートして参りたいと思います。
後日,とても嬉しいお便りが届きました。
On behalf of Primary Curriculum Wing, National Curriculum and Textbook Board (NCTB) in Bangladesh & University of Dhaka, I would like to express our gratitude.
This is our great pleasure to have a session from Mr. Yoichi Sakamoto and Mr. Koji Sato of Shinkoshuppansha Keirinkan Co. Ltd on ‘Textbook Development for Science and Mathematics in Japan’.
The experience and knowledge, we received from this session provides us with the understanding of the system of textbook development along with the principles followed by them to develop a global standard textbook.
Now we are able to compare the process followed by Bangladesh and process followed by Japan in addition now we are able to see how we can improve our textbooks further more.
I would like to thank you very much Mr. Yoichi Sakamoto and Mr. Koji Sato on behalf of our Bangladesh team as their lecture and advice certainly help us improve our textbooks.
MD. MURSHID AKTAR
Primary Curriculum Wing
National Curriculum & Textbook Board (NCTB)
website: www.nctb.gov.bd
2013年2月