中学理科教科書「未来へひろがるサイエンス」Q&A

物質

Q3
中和の実験(教科書本冊3年p.125)で,水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加えているのはなぜですか?

回答
 中和の実験において,こまごめピペットで水溶液を少しずつ滴下する操作は中学生にはやや難しく,アルカリ性の水溶液に酸性の水溶液を滴下するほうが,酸性の水溶液にアルカリ性の水溶液を滴下するよりも,アルカリ性の水溶液にふれる危険性がより少なく,安全であると考えられるからです。
 また,この中和反応では,操作上中和点を通り過ぎてしまうことが多いです。塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えていく場合,水酸化ナトリウムが過剰になり,水を蒸発させると水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムの混晶になる可能性があります。一方,水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加える場合は,塩酸が過剰になった状態でも,塩化水素として加熱によって蒸発するため,塩化ナトリウムの純粋な結晶が得られます。
 以上の理由で,水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加える方法を採用しています。