- 溶質が水にとけていく実験(教科書本冊1年p.148図29)で,硫酸銅を用いるのはなぜですか?
- 水に溶解するようすを見せる上で,どのような物質を選択するかの条件として,重要と考えられる順に
(1)呈色し溶解の観察が可能な物質であること
(2)純物質(純粋な物質)であること
(3)分子性物質(電荷をもたない物質)であること
が挙げられます。ただし,中学校で扱う物質の中で,(1)〜(3)の全ての条件を満たすような物質はありません。
そこで,中学校で扱う物質の中で,上記の条件のうち(1)(2)の条件を満たし,早く溶解する硫酸銅を用いることにしました(コーヒーシュガーは(1)の条件を満たしますが,(2)の条件を満たさないため,避けました)。
(3)に関しては,硫酸銅は分子性物質ではなく,イオン性物質(電解質)です。硫酸銅の青色は銅イオン(正しくは銅の錯イオン[Cu(H2O)4]2+)に由来するもので,結晶中でも,溶液中でも同じ構造をしています。ただし,1年生の段階では粒子概念を学習し始めたところであり,イオンの概念を学習しておりませんので,銅イオンが拡散していることが,「硫酸銅の粒子が拡散している」という生徒の認識に影響を与えることはないと考えられます。