- 哺乳類は,爬虫類から進化したのではないのですか?
- 文部科学省からの検定意見により,平成24年度用教科書から,哺乳類は爬虫類から進化したと記述しておりません。
今までの教科書では,哺乳類は爬虫類から進化したと説明していました。しかし近年の研究の成果から,哺乳類と爬虫類は,別物であるという考えが主流となっています。
現在では,両生類から羊膜類(羊膜と卵殻をもつ四肢動物)が進化し,そのときに双弓類と単弓類が進化したと考えられています。
双弓類は頭骨の左右に2つずつ,双弓型側頭窓という穴をもち,『爬虫類と鳥類の共通の祖先とそのすべての子孫を含む単系統群。(生物学辞典 東京化学同人 2010)』と定義されています。
単弓類は頭骨の左右に1つずつ,単弓型側頭窓という穴をもち,『すべての哺乳類の共通の祖先とそのすべての子孫を含む単系統群。かつてはディメトロドンやキノドン類などを哺乳類型爬虫類とよんでいた。しかし,単弓類と爬虫類が石炭紀から独立した進化をしていたことが明らかになるにつれ,単弓類の一部を爬虫類の一部のような名前でよぶのは適切ではないと考えられるようになっている。そのため,かつての哺乳類型爬虫類(哺乳類ではない)は単弓類と称するのが一般的になりつつある。(生物学辞典 東京化学同人 2010)』と定義されています。
また,『単弓類はペルム紀には大型の草食者や肉食者に進化し,その時代には支配的な四肢類であった。しかし,ペルム紀末から三畳紀はじめの大絶滅の時代に激減し,三畳紀(2億5100万〜2億年前)にはその多様性は減少した。その後,哺乳類様の単弓類が2億年前の三畳紀末期に出現した。(中略)最初の真の哺乳類はジュラ紀(2億〜1億4500万年前)に出現し,いくつもの系統に分化したが,その多くは短命だった。(キャンベル生物学 丸善 2013)』とあるように,単弓類の進化の道のりも,平坦ではなかったようです。
以上のことから,哺乳類は,両生類から進化した単弓類(爬虫類とは別物)から進化したと考えられています。